岸田氏は3分野を柱とした経済支援策を表明する見込み。
1)ロシアを迂回してカスピ海を通る新たな輸送ルートの創設。
「日本は安定した輸出ルートが地域に経済的自立をもたらすことを期待して、ロシアを経由せずに中央アジアと欧州を結ぶカスピ海ルートの創設を支援する」と、ジャパンタイムズは報じている。
2)これらの国々が石炭への依存度を減らし、天然ガスの処理やその他のよりクリーンな技術およびエネルギー源に移行する取り組みを支援する。
3)文化及び教育の交流促進。
これらは、地域における日本の立場を強化し、長期的な協力のための安定した基盤を築くことを目的としている。これらの国々は鉱物資源が豊富で、多方面にわたる政策を実施しているため、当然のことながら、日本との協力に関心を持っている。
一方、新しい貿易ルートの案については、その経済的効率性について話すのは時期尚早だと、高等経済学院の応用経済学部教授のボリス・クズネツォフ氏は述べている。
「アジア、欧州、アフリカ間の輸送回廊の開発に多くの国が関心を持っている。中国はすでに自国のプロジェクト『一帯一路』に取り組んでいる。したがって、日本版は中国版の競合となる可能性がある。もしかしたら、日本と中国の間には共同投資に関する合意があるかもしれないが、私はそのような話を聞いたことはない。日本はこれらの市場にアクセスするための最適な方法を必要としている。その中で日本にとって最適だったのがロシアを経由するルートだった。日本は今後10年でロシアとの経済関係が改善することはなく、そのルートを利用できるチャンスが巡ってくるとは思っていないため、迂回するルートを探していると考えることができる。しかし、この新ルートのセクションがカスピ海を経由して、例えば、トルコに至ることを想像した場合、日本には中央アジア諸国まで直接輸送するルートがない。モンゴル、さらにカザフスタンへ輸送を行うには、中国またはロシア経由するしかない。日本がどのようにしてこの輸送回廊の出発点に物資を届けようとしているのかは不明だ。したがって、私にはこのプロジェクトが経済的に得策だとは思えず、少なくとも現段階においては、それは経済よりもむしろ地政学との結びつきが強いと考えている。これは歴史的、地理的、経済的にロシアおよび中国とつながりがあるこれらの国々に対する自国の影響力の強化だ。日本の課題は、このつながりを弱めることだ。日本にとっての経済的利益について言えば、理論的に計算することさえ今は不可能だが、中央アジア諸国にとっては、外国からのあらゆる投資はプラスになる。このような複数年にわたる大規模プロジェクトならなおさらだ。新しい輸送回廊の構築には、関連するインフラの建設が伴う。これは地元住民にとっての新たな雇用や投資でもある。さらに、これらの国は、欧州やその他の国に自分たちの商品を輸送するためにこの回廊を使うことができる」
クズネツォフ氏は、経済的観点から見て、日本は合意だけでも何年もかかる新ルートよりも、中央アジア諸国の原料資源に関心があるのかもしれないとの見方を示している。
「現在、世界では原発で使われる燃料が不足している。日本では原発がエネルギー供給に大きく貢献している。そしてカザフスタンのウラン埋蔵量は膨大だ。さらにカザフスタンやその他の中央アジア諸国には石油やガス、鉄、クロム、ニッケル、銅、金、レアメタルの鉱床がある。長期的展望において、そのうちのいくつかに日本も関心を持つ可能性は十分にある。また、これらの国々は、日本製品の消費市場としても有望だ。そこでは鉱業が発展しており、今後も発展するだろう。そして日本の技術や機械工学分野の製品は大きな需要があるかもしれない」