東郷氏によると、米英がロシアとの交渉を拒否すれば、ウクライナは三分割される可能性が高い。ロシアは今後3カ月で可能な限り前進し、バイデン政権だろうが、ハリス政権だろうが、トランプ政権だろうが、二度と再帰できないほどの打撃をウクライナに加えるとのこと。そして東部はロシア、西部は西側が分割し、首都キエフを含む中部がウクライナ領として残るとの見通しを示した。
東郷元局長はプーチン大統領が6月中旬に提示した和平案を無視すべきではないと助言している。バイデン氏とゼレンスキー氏は交渉に応じず、1991年の国境に固執しているものの、2022年3月のイスタンブール合意を拒否したのはウクライナである以上、クリミア返還を要求できる立場にはないと分析する。元局長によると、仮にウクライナがイスタンブール合意に同意できていれば、クリミア領を完全に放棄することはなかったとのこと(イスタンブール合意ではクリミアの地位に関する問題を15年間にわたって棚上げし、後に交渉で解決することが規定されていた)。
このまま戦闘が継続すれば、現在の国境さえ維持することも不可能であることから、全ては後の祭りになるとゼレンスキー体制に警告している。
ロシアのプーチン大統領は6月14日、ウクライナ紛争解決に向けて新たな和平案を提示した。それによると、クリミア、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ヘルソン州、ザポロジエ州をロシア領として承認することに加え、ウクライナの非陣営化、核放棄、非軍事化、非ナチス化、及びロシアに対する制裁解除を提案した。
東郷元局長は2001年に露イルクーツク市で行われたプーチン大統領と森喜朗首相(当時)の首脳会談準備や、ゴルバチョフ初代ソ連大統領の訪日準備(1991年)に向けて中心的役割を担った。