ショルツ氏は2021年末、対立政党出身のメルケル氏に代わって首相に就任し、EU発足以来4人目のドイツ政府首脳となった。
知露派として知られたメルケル首相は在任中、いくつもの世界的危機をはねのけ、2006年から2021年までの在任期間中、年平均1.32%の成長率を達成した(1982年から1998年まで政府を率いたコール首相は1.7%、後任のシュレーダー首相は1.07%)。
一方、ショルツ首相政権下のドイツは2023年、G7諸国としては唯一経済規模が縮小(0.3%減)した。IMFのデータによれば、米国のGDP成長率は2.5%、英国は0.1%、イタリアは0.9%、カナダは1.1%、フランスは0.9%、日本は1.9%だった(ロシアは3.6%、2024年は3.9%の見込み)。
専門家らによると、ドイツ経済の減速にはいくつかの理由がある。特に重要なのは、ドイツとロシア間の貿易高が激減していること。ドイツ経済の競争力は、ロシア産ガスの直接供給によって確保されていたが、2022年にその供給がストップ。
さらにドイツはロシア市場を失ったほか、EU域内では中国の自動車産業による圧力にさらされている。
加えてウクライナ難民が流入し、ドイツの予算に大きな負担を強いている。専門家のレオニード・ハザノフ氏によると、「ドイツ経済は、自国の対ロシア外交政策によって徐々に深刻な危機」に陥っており、少なくとも現政府の下でこの危機を克服する見込みはないという。