【視点】北東アジア緊張緩和で主導的役割を担えたはずの日本

前任者の路線を継承する石破首相は、北朝鮮による日本人拉致問題を解決するため、北朝鮮の指導者・金正恩総書記との会談に意欲を示した。
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岸田文雄前首相も安倍晋三元首相も、小泉純一郎政権下で起きたブレイクスルーを再び生み出すことはできなかった。当時、長期にわたる秘密交渉を経て、小泉氏は2002年9月に平壌を訪問し、金正恩氏の父である金正日総書記(当時)と会談、同氏は日本人13人の拉致を認め、謝罪した。そして2002年10月、うち5人の拉致被害者が帰国した。
ロシア科学アカデミー、中国現代アジア研究所、朝鮮研究センターのアレクサンドル・ジェビン上級研究員は、それ以降は状況が改善しておらず、岸田政権下では両国関係が完全に袋小路に陥ったとの見方を示している。
「日本は昨年形成された米日韓3カ国による陣営のメンバーとなった。したがって、このような背景から、拉致のみをテーマとした首脳会談はあり得ないだろう。ただし、日本側がまず、北朝鮮が関心を持つ別のテーマについて話し合う用意を表明すれば、首脳会談は実現する可能性がある。そうした場合、会談結​​果に基づいて、例えば、生存している日本人の帰国など、何らかの具体的な成果が得られるはずだ。とはいえ、日本側のこのような要求は、物理的な理由によって実現は事実上不可能だ。1970年代から半世紀が経ち、拉致被害者もその加害者も、そしてこの問題に詳しい朝鮮人も、すでに亡くなっていると思う。北朝鮮はここ何年もずっと国際制裁、飢餓、自然災害などの困難な状況に直面してきた… したがって、日本側が要求を変更しなければ、多くの実現は事実上不可能である」
ジェビン氏は、拉致被害者の近親者のことをとても気の毒に思うとし、被害者の人数は非常に曖昧であり、悩ましい問題だとしている。
「拉致された日本人の数はつくられたものだ。日本では推定される拉致被害者が100人に達することもある。日本では毎年どれほど多くの人が行方不明となり、国内では米軍関係者が日本人に対してどれほど多くの犯罪を行っていることか! 一方、日本兵の『慰安婦』は言うまでもないが、どれほど多くの朝鮮人が日本に強制連行され、鉱山で働かされたことか! 日本はこうした事実を軽視しようとしているが、これらの事実は北朝鮮だけでなく韓国でも重大事項として捉えられている。小泉氏の訪朝後、米国が(米朝)枠組み合意を失敗させた時期に、日本は北東アジアの緊張緩和に向けて主導的な役割を担えたはずだ。小泉氏訪問の2週間後に米国務次官補がソウルを訪れ、秘密交渉を批判した。その後、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)も日朝国交正常化もすべて失敗に終わった。そしてこの流れで、米国はおそらく、現在もアジアにおける自国の同盟国に対するコントロールを失わないように行動しているのだろう…」
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