日産の需要の落ち込みが特に顕著だったのが中国市場で、14.3%減となった。上半期(2024年4月~9月)の純利益は93.5%減少した。これを受けて、日産の株価は東京市場で6%下落。8月以来、4年ぶりの最低の水準となった。
ホンダ自動車も同じく、中国での販売不振により第2四半期の営業利益は15%減と発表している。これにより、ホンダの株価が5%下落した。日産の主要なライバルであるトヨタ自動車でさえ、四半期の世界販売台数が前年同期比で4%減少し、生産台数は7%減少したことを明らかにしている。
大きな困難に直面しているのは欧州最大のドイツ自動車産業も同じだ。BMWの第3四半期の利益は61%減。その背景には、中国での販売不振と一連のモデルに技術上の問題が発生したことにある。同じく独自動車大手、メルセデス・ベンツも大幅な減益を記録した。フォルクスワーゲンも業績不振のため、国内の3工場の閉鎖を検討している。
世界の自動車業界が最後に販売台数の激減の最大の危機を被ったのは、2020年から2022年末まで続いたコロナウィルスのパンデミックの時期だった。現在の世界の自動車大手が陥っている悲惨な状況の原因は何か? それは、危機の再来と呼ぶことができるものなのか? スプートニクはこの問題について、総合戦略調査研究所の上級アナリスト、ドミトリー・プレハーノフ氏に見解を尋ねた。
「日本をも含め、多くの自動車メーカーを襲っている問題とは、国際自動車市場が変革期を迎えていることに起因している。第一に、どのメーカーも中国国内でも国際市場でも、中国ブランドとの競争激化に直面している。中国国内市場では、乗用車販売に占める国内メーカーのシェアはすでに70%近くに達している。この数字は実は、コロナウイルスのパンデミックが始まる前までは長きにわたって40%前後を変わることはなかった。 そして何よりも、中国では電気自動車の開発と生産には、国から積極的な補助金が出されている。中国の自動車輸出は過去4年でほぼ4倍の、年間400万台に達した。これはかなり大きな数値であり、世界全体の販売台数の5%に迫っている」
プレハーノフ氏は、数値が悪化したもう一つの原因は購買者が求める優先順位が変化したことにあると見ている。
「今日、購買者が選択の指針を傾けるのはイノベーション技術、自動操縦、環境への優しさだ。もちろん、価格の差も無視はできない。こうした条件下で企業は市場構造の変化に、まさにEVやハイブリッドのラインアップの拡大に適応を迫られる。みんなが市場環境の変化に迅速に対応ができるわけでは到底ない。車種のラインアップの見直し、新型車の発表、不発に終わったプロジェクトの終了などは時間を有する。
世界市場での競争は総じて激化している。かつて、中国の急速なモータリゼーションは市場全体の力強い拡大を促していた。だが今や、販売台数はその時代ほどには伸びていない。コストの上昇と競争の激化が相まって、自動車産業の収益性に悪影響を及ぼしており、このため多くの自動車メーカーが人件費削減による引き締めを余儀なくされている」