厚木基地騒音訴訟、国に59億円の損賠支払い命令 自衛隊、米軍機の飛行差止めは認めず

横浜地裁は20日、厚木基地(神奈川県)の騒音問題による健康被害を訴える住民らに約8700人が起こした集団訴訟で、日本政府に対し計59億円の損害賠償の支払いを命じた。
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厚木基地は海上自衛隊と、米軍の共用施設。騒音の主要因とされてきた米空母艦載機が2018年に岩国基地(山口県)に移駐しており、その後の被害をどう判断するかが焦点だった。
地裁は損害賠償を認めた一方で、住民が求めていた夜間・早朝の飛行停止や、飛行が停止されるまでの将来の損害賠償支払いについては退けた。
厚木騒音訴訟は1973年から複数回にわたって提訴されており、過去4回の訴訟ではいずれも損害賠償の支払いが命じられた一方、飛行差し止めは認められなかった。
第4次訴訟では最高裁が2016年、自衛隊機の飛行差し止めを命じた横浜地裁、東京高裁判決を破棄。「自衛隊機の運航には高度の公共性や公益性がある」からだという。一方、米軍機は日本の法律では差し止めの対象にはならないとして、一審から住民の主張は退けられていた。
日本政府は、国内各地の米軍基地などの騒音問題をめぐり、累計で約700億円の賠償金を支払った。一方、日米地位協定に基づく政府の要求にも関わらず、米国側は250億円ともいわれる分担額を支払っていない。
地位協定では米軍による被害の民事請求権を認めている。米軍のみに過失がある場合は、賠償額の75%を米国が、残りの25%を日本政府が負担。双方に過失がある場合は、請求額を折半すると規定されている。
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