ファイブ・アイズの『第6の目』に日本はなるか?

11月20日、機密情報共有体「ファイブ・アイズ」が非加盟国である日本で初めての会合を開いた。この会合は、東京で開催された自衛隊幹部による拡大会議の一環として行われた。会合には統幕最先任の甲斐修准空尉が、自衛隊を代表して出席した。
この記事をSputnikで読む
甲斐准空尉はファイブ・アイズの代表を招聘した主な目的について、自由で開かれたインド太平洋という日本のビジョンを推進するためだと指摘した。米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国で構成されるファイブ・アイズは、その歴史は第二次世界大戦まで遡るが、今現在、インド太平洋地域を含む、地政学的情勢の悪化や、情報安全保障分野での中国の台頭により、日本が同盟に参加する根拠は強まっている。 2020年に河野太郎元防衛相がこの構想を持ち出して以来、日本はファイブ・アイズの各メンバーとの間で、情報共有を含む安全保障関係を大幅に強化してきた。しかし、これまでのところ、この同盟への参加について公の発表はない。
米国研究が専門のロシア人政治学者、ドミトリー・ドロブニツキー氏はスプートニクからの取材に、「ファイブ・アイズはかなり閉鎖的な組織で、その構造は透明性とはかけ離れている」として、次のように語っている。
「彼らが情報をどう収集し、どのように共有しているのか、実際のところは誰にもわからない。エドワード・スノーデン氏はかつて、ファイブ・アイズは超国家的な諜報組織であり、自国の法律さえ順守していないと発言した。そして彼は、この組織が同盟国の市民の行動を互いに追跡し、スパイ活動をしていると非難した。この組織は、戦争を効果的に計画するための、加盟国の軍隊間の機密情報の共有を目的として設立されたが、今や、情報共有という当初の任務を超え、情報交換と政策の擦り合わせの会議を公式的にも非公式的にも合意するという機能まではたしている。同盟内の協力は現在、サイバネティクス、サプライチェーン、情報作戦、技術研究など、非伝統的な安全保障分野にも及んでいる」
ドロブニツキー氏によれば、ファイブ・アイズの国々は、中国、北朝鮮、ロシアと隣接する日本や韓国とは、加盟が成立せずとも、少なくとも緊密な協力関係の構築には多大な関心を寄せている。
「ファイブ・アイズ加盟国の軍部のインド太平洋地域に対する関心は、諜報活動も含めて著しく高まっている。ドナルド・トランプ氏が米国大統領に就任した後の動向は特に興味深い。どうも彼は、米国の地政学的な主要敵国の中国が位置するこの地域への関心は、欧州などよりはるかに高いようだ。ファイブ・アイズは、例えばAUKUSのような組織と共通していて、地域の親米国である日本や韓国、フィリピン、ニュージーランドをこの協定に引きずり込もうという思惑が非常に強い。つい先日、米国、英国、オーストラリアは、AUKUSの三国間協力の実質的な行動の一環として、極超音速兵器を共同で開発、実験する協定に署名した。そして2つの注目すべき報道があった。なんと日本は、米国も保有していない、そうした兵器の製造技術を有しており、加えて、非常に発達した艦隊もあると。艦隊は米国ほど強力ではないにせよ、多様で機動性があり、海峡を越えて移動ができるというのだ」
ドロブニツキー氏は、日本が ファイブ・アイズの「第6の目」になるかどうかは、日本一国の希望如何で決まる問題ではないと考えている。
「日本を突き動かしているのは、中国の軍事力に対する恐怖感と、自国の安全保障を自力で確保できないという事実だろう。それに、トランプ次期大統領との協力がどの方向にころぶかも予測できない。もちろん、彼が日米安保条約をないがしろにすることはないだろうが、不愉快な事態はありえる。また、もし日本がファイブ・アイズのメンバーになりたいとしても、そう簡単ではないだろう。データの機密度による分類、安全な情報共有のためのアクセスシステム、データ漏洩を防ぐメカニズムの構築、サイバー安全保障の確かな保証など、ファイブ・アイズ全加盟国が満たす基準を日本も採用することを迫られる。だが、これは短時間ではできないからだ」
コメント