【視点】日米でオスプレイが安全確保のため一時停止

米軍に続き、自衛隊も安全上の理由からすべての米製輸送機オスプレイの飛行を一時停止した。米軍での飛行停止は、11月20日に米南西部ニューメキシコ州のキャノン空軍基地で墜落寸前の事故が発生したことを受けて決定された。
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米国はこの決定を日本に通知した。日本ではオスプレイの事故が頻発しており、社会的な関心事となっている。最近では2023年11月29日に鹿児島県の屋久島沖で米軍のオスプレイが墜落し、乗組員8人全員が死亡した。運用開始以来、様々な結果を伴う危険な事故がすでに20件以上起きている。12月10日、林芳正官房長官は、自衛隊のオスプレイの運用について「安全確保を優先する観点から任務飛行を除き、本日から一時的に飛行を見合わせている」と発表した。
オスプレイにはどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか?また事故が頻発しているにもかかわらず、なぜ運用が続けられているのだろうか?退役少将で、雑誌「アヴィアパノラマ」の副編集長を務めるウラジーミル・ポポフ氏がスプートニクの問いに答えた。
「これはかなりコストのかかるプロジェクトだが、飛行機とヘリコプターを組み合わせたユニークで非常に有望なハイブリッドだ。 そして今、専門家らは、過去の事故が起こった後と同じように、運用中に生じるいくつかの問題があることに気づき、設計上の何かを修正しようとしている。これは新技術であり、改良が必要だ。オスプレイのローター軸の角度変更が非常に複雑であることが、頻発する事故によって明らかになっている。 ヘリコプターの状態から航空機の状態に移行し、また戻るプロセスは非常に複雑だ。わずかなミスが事故につながるおそれがある。航空機がヘリコプターであるためには、それを支えるプロペラが必要だ。そして飛行機のように飛ぶためには、翼の揚力が必要であり、そのためには高度の推力ベクトル回転システムが必要となる。しかし、すでに一連のこうした垂直離陸機能を備えた航空機が生産され、開発に多額の資金が投入されていることを踏まえれば、これらの生産を止めるのは採算が合わない。一方、オスプレイCV-22のベーシックバージョンはすでに生産されておらず、新バージョンがでると聞いている。このシリーズでは、プロジェクトへの投資を正当化するためにシステムをさらに開発する必要がある」
ポポフ氏はまた、場合によってはオスプレイは必要不可欠だと話す。
「オスプレイは垂直に離着陸することができる。したがって戦闘時に着陸する際に飛行場の滑走路が破壊されたり、壊れている場合、あるいは滑走路が非常に短い場合、垂直離着機ほど適したものはない。限られたスペースや地面に着陸させ、離陸させることができる。ヘリコプターとしての利点は、第一に機体の容積が大きいことだ。この意味では、世界最大のロシアの大型多目的輸送ヘリコプターMI-26に匹敵する。垂直離着機の第二の利点は、水平飛行の速度が時速565キロと、すべてのヘリコプターの速度を凌駕することだ。一回の給油での最大飛行航続距離は2500キロ。ただし、貨物や空挺部隊が搭乗している場合は、揚力に応じて航続距離は短くなる。なぜ米国がこのプロジェクトに固執するかというと、彼らは世界中に約900の基地を持っており、あらゆる場所に飛行場を建設することは不可能だからだ。また、垂直離陸機用のヘリポートを用意する方が簡単であり、費用は10分の1から20分の1で済む。つまり、この場合、2つの決定的な要因がある。それは軍事的経済性と、与えられた任務を実行するために部隊を戦術的に使用する大きな可能性だ。こうした任務を米国人は自分たちでたくさん考え出している」
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