【視点】国外では関税協議 国内では現金給付による国民救済が議論

トランプ大統領は日本との関税協議で「大きな進展」があったと主張しているが、当事者からは具体的な成果は報告されていない。赤沢経済再生担当相は記者団に対し、詳細には触れなかったが、双方が今月末に第2ラウンドを開催することで合意したと述べた。
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赤沢氏はまた、ベッセント財務長官、米通商代表部グリア代表とも会談を行った。赤沢氏は、関税の撤廃を強く求めてきたとし、米国は90日以内にディール(取引)を望んでいるとの考えを示した。
しかし、日米双方が次の協議への準備をする中、日本の政府・与党は万が一に備えて、関税措置による物価上昇など影響に対処する経済対策の一環として、国民への現金支給について議論を開始。提案は1人当たり3万円から4万円の一時金支給で、この案を政府は財政支出を確保のために今年度の補正予算案の編成後、6月末までの今国会で採択する方針だったが、案は17日に見送られることとなった。
ロシア科学アカデミー、中国現代アジア研究所、日本調査センターのヴァレリー・キスタノフ所長はこの状況について、次のように語っている。

「現在、現金給付については議論の最中だ。まず財源を確保しなければならない。もし補正予算案が採択されれば、どこからか補充しなければならないが、日本の財政は厳しい状況にある。膨大な国の借金、防衛費の増加、米軍基地の維持費などだ。米軍駐留経費はトランプ大統領がこれまで主張していたが、現在、この問題は主題ではない。

現金給付は、おそらく増税によって賄うのであろう、だが野党は減税を要求している、野党の同意がなければ、政府は経済や国内政策で政策を通すことが難しい。さらに、現金給付によるインフレのリスクもある。つまり、こうした現金支給は消費を刺激する。こうしたリスクが考慮されているかどうかも疑問だ。

トランプ大統領が関税の大幅な引下げや撤廃に踏み切れば、現金給付の必要性がなくなる。米国は自国の同盟国らには何らかの形で期待をもたせてやるだろうと思う。今、中国とこれ以上悪化しようのないほどの貿易戦争状態にある米国が、さらに日韓までをも相手にケンカするとなれば、どんな結末になるかはわからない…」

日本からの輸出品に課せられた24%の相互関税は現在、その他のトランプ関税の大部分と同様、現在90日間停止となっている。しかし、世界共通関税10%は鉄鋼、日本車、その他様々な製品に対する25%の追加関税と同様に、引き続き適用される。自動車関税は、輸出の3分の1近くが米国市場である日本の自動車メーカーにとっては痛手だ。日本は、同盟国どうしであるからには対米投資の拡大の約束と二国間貿易における非関税障壁交渉でトランプ大統領とその政権を説得でき、互恵的な合意に達することができると期待している。
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