先日ローザンヌで国際仲介6か国とイランは、イラン核開発問題に関する将来の合意(間もなくこれに取り組むことになる)の諸々のパラメーターを発表した。イラン核開発問題に関する合意において進展ありとの発表に、世界の市場は敏感に反応した。ブレント原油は5%下落。オープ氏がリア・ノーヴォスチに対して語ったところによれば、「イランはOPECの原油生産割当量をかなり蓄えている。これまでは原油を売ることが出来なかった。もしこの弁が開けば、市場は飽和状態になり、油価は急落するかも知れない」。同氏によれば、事態の今後の推移は、さらに、市場の需要と供給にも左右される。「需要国が求めるのは、なるべく安く石油を買う、ということである。そして、安い石油を買いたがっている最大のプレイヤーといえば、中国である」と同氏。
制裁解除に関する合意はなお中間的なものにとどまっている。しかし専門家らは、供給は増大する、年内にも油価は下がる、と見ている。Thomson Reutersの商品市場担当編集長アレクサンドル・エルショフ氏は次のように語っている。「イランがグローバル石油市場に復帰すると、「黒い黄金」の価格は下落する。イランの復帰で、世界の産油国は非常に厳しい状況を迎えることになる。ロシア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、カザフスタンにおける一部石油採掘が圧力を受けている。価格をめぐる角逐が始まるだろう。産油国は今から多角化、ロジスティクスの最適化を考えなければならない」。需要を旺盛に増大させている中国が産油国を助けてくれるかも知れないが、中国は現時点で既にイラン産石油の最大の顧客なのである。
もちろん、イラン当人にとっては、禁輸の解除は極めて重要である。制裁導入後、2012年の1年間だけで、イランは石油輸出による利益を700億ドルも得損なっている。加えて、ロシアと同様、イランも通貨が下落し、急速なインフラに見舞われている。ただし、イラン指導部はこれまで度々、制裁によってむしろ技術が高まり、石油依存が脱却された、との声明を出している。たとえばGazeta.ruの取材に対しイラン科学技術担当副大統領スレン・サッタリ氏は、「対イラン制裁導入でイランの科学技術水準は飛躍的に向上した。ナノテクノロジーやバイオテクノロジーの分野では我々は中東第一の地位を占めている。我々は他の輸出品目を探すようになり、資源以外の収入源、税源を探すようになった。天然資源でなく知能を根幹とする新しい経済だ」と述べている。