日本、鯨をめぐる新たな戦いに備える

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日本は捕鯨が厳格に学術目的でのみ行われていることの証明を提出する、と林芳正農水相。2014年3月ハーグの国連国際裁判所判決を受け、日本は今期、南極への捕鯨船派遣を中止した。その判決によれば、日本はレッドブックに記載されているミンククジラを商業目的で捕獲している、とのことだった。1986年、国際捕鯨協会は、商業捕鯨を禁止している。また1987年には鯨を殺傷するような実験が禁止されてもいる。日本はこの合意を厳格に遵守している、と主張している。

日本が提出した捕鯨の必要性に関する説明を国際委員会は不十分と見なし、追加の調査を勧告した。日本はいま、12月に始まる次のシーズンに捕鯨の許可を得られることを期待して、新たな産業計画を策定中である。しかし、鯨の肉が実際に小売されている事実に基づき、環境保護団体は、日本は学術実験を隠れ蓑に商業捕鯨を行っている、として、日本を非難している。日本側はこれに対して、鯨の頭数を調べるためには鯨の胃袋の内容物を調べなければならず、それには鯨を殺害するしかない、と訴えている。そうした研究の後に残った肉が小売に回されているのである、という。

この問題には様々な意見がある。まずは動物保護団体の声を聞こう。国際動物保護基金ロシア支部のマリヤ・ヴォロンツォワ代表は次のように語る。

「商業捕鯨モラトリアムの導入以降、日本は、学術目的を隠れ蓑に、1万4000頭もの鯨を殺害した。大半が南半球の自然保護区にいたミンククジラである。鯨の殺害方法に対しても、研究結果そのものに対しても、多くの不満、憤慨の声が上がった。第一に、この時代、より完成された、実際の殺傷を伴わない調査方法があるのだ。第二に、一方では学術捕鯨だと言いながら、傍らで肉を販売するとは、これは控えめに言っても、美しくない。我々は日本に対し、また他の国々に対し、殺傷をともなうような調査にかわって、より人道的な、エコロジカルな手段をとるよう、動物を傷つけなくて済むような方法をとるよう、呼びかけている」
これと異なる観点を示しているのが国際捕鯨委員会のロシア代表を20年にわたって務めているワレンチン・イリヤシェンコ氏である。

「感情でなく科学的なデータを基準にしなければならない。条約には学術目的の捕鯨については制限の対象外であると明記されている。学術目的で捕鯨を行う国は、国際捕鯨委員会の学術委員会へ「何を」「どこで」「いつ」「どれだけ」「どんな目的で」という点を報告することを義務としている。日本の過ちは、学術的な目的のほかに、食肉としての必要があるのだということを、はっきり主張しなかったことだ。統計をとるためには、厳密にどれだけの頭数が必要なのか。それを厳密に示すことは必要不可欠だ。鯨肉の販売については、条約には研究の後で残った肉をどうするかということは精確に記されていない。日本は鯨肉を世界で一番古くから食してきた民族だ。グローバル化の影響で日本における鯨肉需要は下がっているが、ゼロになってしまうことはない。日本が南極で年間に捕獲する400頭の鯨の肉が、食べられずに海に捨てられたところで、誰の得になるというのか。食肉として販売するほうが合理的というものではないだろうか」

日本が捕鯨の権利を求めて戦うことの理由には、現代日本人の需要ということ以上に、文化とアイデンティティの保存ということがある、という意見がある。その場合、話は調査をいかに行うか、鯨を殺傷しない方法ではだめなのか、ということではなく、一部の国家に認められる伝統産業ということなのかも知れない。そうなれば話は別である。

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