「安部第2次政権が誕生し、首相の靖国神社参拝にするとかしないとか、場合によると歴史修正主義者ではないかとか、また隣国の韓国中国との関係が円滑にいっていないことをオバマ政権が非常に苦慮していたというのがこの間の実情だったと思います。またオバマ政権自身も米中戦略対話を行っているわけで、それぞれの思惑はあっても、両国関係は対等に進めていこうという中で、安部第2次政権が誕生して以来、中国、韓国も米国オバマ政権も先ほど苦慮という表現を使いましたが、日米関係も大事ですが、東アジア全体にとっての日本外交の行方をオバマ大統領のほうが深刻に憂慮していたと思います。今もそれは変わらないのではないでしょうか。したがって昨日の日中首脳会談は、たまたまバンドン会議60周年の会議の場で、訪米前に外交の結果ができたということを双方が活用したのではないでしょうか。ただ会えばいいということではなく、具体的に日中、日韓、日露にとどまらず、東アジア全体での平和的関係の維持が大切ですし、米国には独自のアジア戦略があるはずですが、訪米前に形だけとりあえずは日中会談が行われたということでしょう。日中関係の具体的な中身についてはこれから見守っていかねばなりません。これはオバマ政権も中国および周辺諸国もそう思っているでしょう。」
「米国での安倍首相の任務の複雑さや実行不能性の原因となるのは、まず米中関係の矛盾にある。米国と中国は、最大の貿易・経済パートナーだ。しかし米国は中国を自国の政治的パートナーならびに同盟国にすることができなかった。それは米国がメシア思想と世界の主導権の考えにとりつかれているからだ。これと同じ理由で、米国はロシアを自国から遠ざけている。米国は日本をアジアで米国の利益を守るための単なる道具とみなしており、常にそのようにみなしてきた。そして米国は日本のこの役割をできるだけ長い期間にわたって確保しようと努めている。」
そのためイワノフ氏は、安倍首相が米国で、中国が力を増す中、友好と相互援助や、日本への何らかの安全保障の約束を取り付けることを望んでいるとしたら、恐らく安倍首相はそれらを受け取ることができるだろうと述べている。しかしこれが、日本の現実的な安全保障の強化につながることはなく、中国との関係正常化の道の模索を軽減することもないだろう。