安倍首相はプーチン大統領に親書を送り、その中で5月9日の大祖国戦争勝利記念70周年行事に参加できない理由を綴った。
菅官房長官は親書の内容について、作業日程との絡みで行事へは不参加であることが記載されたと語っている。一方のロシアでは、安倍首相の不参加はオバマ米大統領がそれを禁じたからだと多くの人が思っている。だが有名なロシア人東洋学者のヴィクトル・パヴレテンコ氏は、これとは違う見解を表した。
「オバマ氏が安倍氏にモスクワに行くなという必要などなかったのではないかと思う。これは日本側の決定であり、安倍氏個人がロシアとG7、ロシアと日本の相互関係にある状況に照らし合わせて採った決定だ。また国際社会における日本の立場からも、その軍事政治的役割の強化に照らした決定でもあるだろう。
だが日本人としては、自分たちとしては来たかったが、状況がこうなり、安倍氏の日程がモスクワ行きを許さなくなったとみんなに説明しなければ、格好がつかないのだ。国際政治ではこうした言い訳は形の上では行なわれえるが、いやな印象は残る。
安倍氏が日本の国益の観点から照らして最後まで抜け目なく立ち回るだろうことは、私たちにはわかる。そしてこの国益を決定するのに安倍氏は次のような手をとった。まず、戦勝70周年を祝うためにはモスクワに行かない。そして次に米国との間に軍事政治協力の新たな基本路線を結ぶ。その次に、太平洋パートナーシップ交渉の最後の取り組みを活発化させると約束する。
その結果、米国側からは憲法の新解釈、日本の国際舞台における軍事政治的役割の活発化、自国の同盟国の安全確保のための自衛隊の海外派遣を承認してもらうことになる。そしてこれらすべてを安倍氏はモスクワに行かないことで受け取るのだ。」
Q: このアプローチ、また安倍氏が選んだ行動ラインは露日関係にとっては何を意味することになるだろうか?
A: ロシアの対日関係路線の決定を採るのは大統領であり、日本のロシアに対する領土要求の決定を採るのはロシア国民だ。露日関係の発展の将来性は、私は制裁解除後、抑制された、ほどほどのものになるだろうと思う。見かけは両者とも万事良好といった態度を見せることもできようが、国内的にはこの安倍氏の行動は大統領のみならず、ロシア国民に対する侮辱と受け止められるだろう。この印象はこの先も残り、将来の露日関係に否定的影響を及ぼして行くものと思われる。