米ロ関係が新たな段階のリセットを始める、と期待することは楽観的に過ぎようが、ホワイトハウスはクレムリンに明らかなシグナルを送っている。「米国は、関係改善と協力再開に至る道のりを話し合う用意がある」とのシグナルである。ウクライナ危機によって、オバマ大統領の第1任期に開始された「リセット」プロセスは凍結した。今、米政権は、ロシアとの協力再開への用意を示している。
「肉眼でもはっきりと分かる。ケリー長官がソチに飛ぶのであって、ラヴロフ外相が米国に渡るのではない。つまり、米国側がイニシアチブをとったのだ」。ワシントンの国益センター総裁ドミートリイ・サイムス氏の言葉をCSM紙はこう紹介している。
最近、クレムリンに対する激烈な発言が続いていたが、それにも関わらず、オバマ政権は、並居る国際問題について、ロシアと協力を続ける意向だ。国際問題とは、具体的には、シリア情勢であり、北朝鮮であり、「イスラム国」を淵源とするテロの脅威である。
ウクライナ紛争由来の緊張と関係冷え込みにも関わらず、ロシアは依然として、イラン核開発問題に関する6カ国交渉における米国の主要なパートナーであり続けたし、またロシアは、戦略兵器削減条約に規定された自らの義務を履行し続けていた。また、ロシアと米国は、イスラム過激派という共通の脅威に突き当たる可能性があった。
米国のアナリストらの考えでは、ロシアの側もまた、米国との協力に関心を持っている。「しかし、それは何も、プーチン大統領がケリー氏の足元に屈するということを意味しはしない。大統領は、自らの安全が脅かされている場合には、ロシアは自らの立場を断固貫くのだ、ということを強く打ち出す意向である」とサイムス氏。
クレムリンは、プーチン大統領はソチでケリー国務長官と会う、と確証した。ウクライナ紛争勃発以来始めての、ケリー氏の訪ロである。