この上なくロマンチックなミュージーアムで過ごす夜

© Sputnik / Yevgeniya Novozheninaミュージーアムの夜
ミュージーアムの夜 - Sputnik 日本
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5月16日から17日にかけての深夜、ロシアでは世界の多くの都市と同じように「ミュージーアムの夜」が実施された。ロシアが「ミュージーアムの夜」に参加するのは今年2015年で9回目となる。

「ミュージーアムの夜」、モスクワ中が大きな祝祭の場と姿を変えるといっても過言ではない。これには毎年、多くの文化施設が参加するが、その目的は広範なオーディエンス、なんといっても若者らのミュージーアムに対する関心を高めることにある。「ミュージーアムの夜」は一年で唯一、夜、深夜に博物館や美術館が来館者に解放される機会であり、ほとんどの施設の入場が無料で、この夜限りの特別な催しが行われる。この夜、モスクワは本当の意味で「眠りを知らない文化の首都」になる。今年、このキャンペーンに参加するのはおよそ200の博物館、美術館、ギャラリー、展示ホール、アートセンター。その多くが単に深夜に常設展示を公開するのではなく、この日のために特別プロジェクトを用意している。

「ミュージーアムの夜」にはミュージーアムのほとんどが祝祭用の特別プログラムの作成に精を出すのが常で、自前のエクスカーション、レクチャー、マスタークラス、歴史の一こまを再現した寸劇、インスタレーション、映画上映、アート・プロジェクト、クラシック音楽やジャズのコンサート、寸劇のショーなどなど、普段の日には絶対見られない催しが目白押しだ。

公園や貴族の館では一晩中、様々な劇やショー、文化マスイベントが行われた。 モスクワ動物園も夜間開館し、来館者らは動物らの夜の生態を観察することができた。モスクワ地下鉄も「ミュージーアムの夜」に参画した。いくつかの駅ではクラッシック音楽の生演奏が行われている。「ミュージーアムの夜」にはなんと、大使館の参加もあった。モスクワでは昔の貴族の館が大使館として使われている例が多いため、大使自らが訪問客に館内を案内し、職務について語るエクスカーションも行われた。

「ミュージーアムの夜」は国際的なキャンペーンであり、その主な目的はミュージーアムをもっと知ってもらう、ミュージーアムの仕事を紹介することにある。最初に「ミュージーアムの夜」が実施されたのは1997年ベルリン。後にこれにフランスが加わり、そして他の国が続いた。ロシアの参加は2007年からで、当初は国立、民間の数十の施設がこれに応じたが、イベントの関心、人気は次第に高まり、夜間開館に応じるミュージーアムの数も年をおうごとに増えている。

モスクワの「ミュージーアムの夜」で一番人出の多いのはトレチャコフ美術館、プーシキン美術館、クレムリン、歴史博物館、文学博物館、現代美術ミュージーアム、リュミエル兄弟記念写真センター、ロシア軍事博物館、コローメンスコエ自然博物館、ダーウィン博物館、モスクワ大学動物学博物館、チミリャゼフ記念生物学博物館、ツァリツィノ貴族の館博物館、矯正収容所歴史博物館、ツヴェタエヴァ家博物館、ブルガーコフ博物館、コニャックの歴史博物館、調理博物館など。

モスクワ「ミュージーアムの夜」の公式的な実施時間は16日18時から深夜0時まで。中には深夜2時まで開館する施設、朝6時まで空けているところもある。夜の街をミュージーアムをめぐって移動する市民に便宜を図ろうと、この夜はバスも特別なエクスカーションコースを走るほか、地下鉄から博物館、貴族の館や自然保護区への運行を増やしている。

「ミュージーアムの夜」の魅力とは、この一夜で、なかなか訪れることのできなかった博物館に行ったり、芸術界のトレンドをウォッチングしたり、一風変わった展示空間に足を運んだり、文化、歴史遺産に触れたりすることにある。もちろん、全部の展示をまわり、見切れないほどの量を見て回るなど無理な話だからこそ、各人が一番面白いとおもうものを見たらいいのだ。
夜を徹した散策、しかも場所はミュージーアムとなれば、ロマンチックこの上ない。

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