昨年、北極をめぐる真の競争が始まった。2014年12月、デンマークとそのグリーンランド自治領が、北極海における自らの大陸棚の境界線画定に関する申請を国連に提出した。デンマークは北極に900平方kmの土地を領有することを主張している。デンマーク(グリーンランド)やロシアのほかに、米国、カナダ、ノルウェーが北極部分を有している。
ロシアは2001年以降、ロモノーソフおよびメンデレーエフ連山を含む炭化水素に富む陸棚の一画の領有を主張している。これら連山がロシアの大陸棚の延長であることが国連の前に証明されれば、そこに眠る資源を優先的に開発する権限をロシアは手にする。ロシア天然資源省の調べでは、そこに眠る燃料資源は、50億トンである。
3月14日、北極地方の開発を所管する、北極海発国家委員会が設立された。極めて広範な権限が付与されており、連邦および地方機関や地方の自治機関がその支持に従い北極圏の発展にまつわる社会経済上の課題を解決し、安全を保障する。
4月18日、ロシアのロゴジン副首相がノルウェーのシュピッツベルゲンを電撃訪問し、ノルウェー政府の不興を買い、北極をめぐる情勢が緊張した。ロゴジン氏がクリミア併合に重大な荷担を行ったため、EUによる制裁の対象になっていたためである。ただし、シュピッツベルゲンは特別な国際的地位を有しており、ロシア人はビザ無しでそこを訪れることができることになっている。
今月、来たる今年のロシア空挺部隊の日、北極圏の一部の島々への下降訓練が行われる計画が発表された。ラジオ「エーホ・モスクワ」に出演した空挺部隊司令官補アンドレイ・オルザコフ氏が述べたものである。