影響のリスクが調査されたのはまず福島県の住人。そしてそれに隣接する地区の住人も、また外国でも行なわれている。大気に放出された放射性物質の人体に与える影響について、国際的な専門家らによる複合的な評価が行われた結果、放射能が誘導して起きる悪性腫瘍にかかるリスクは最も放射能汚染の激しい地区に住んでいた、また今も暮らす人たち、および事故後に原発内で復旧作業に当たった人たちに見られることが明らかとなった。日本全体では福島圏外の住民は、まして外国ではこの事故による影響のリスクは低く、発ガン率の上昇もないと発表されている。このほか、被爆は流産、死産、事故後に生まれた児童の肉体的、精神的異常の増加には影響しないことも確証された。こうした一方でレポート作成者らは、最も汚染が激しいゾーンに暮らす住民、特に乳幼児期に被爆した女児に関して、常時モニタリングを行なうよう進言している。
ロシア小児対放射線保護学術実践センターのアーラ・シピャギナ教授は状況を次のようにコメントしている。
「放射線が誘発する疾患については、これはWHOもIAEAも認めているが、特に各所に発生する悪性腫瘍がある。特にある一定の放射線が影響を及ぼす臓器に見られる。
疾患の第2のグループは遺伝的疾患で、先天性疾患、発育異常、染色体異常がこれに当たる。これは通常、胎児の時期に放射線の影響を受けた子どもに起きる。
チェルノブイリ原発事故後の子どものデーターでは、放射性ヨウ素が大気中に放出されたため、これが甲状腺を直撃し、甲状腺ガンの発ガン率が事故から5-7年後に急増した。ところが事故後に急増したのは全体的な疾患であり、悪性腫瘍とは関連のないものだった。
これは、初めて児童の健康に対し、これだけ大規模で深く、念入りな検査が行なわれたからかもしれない。もちろんある状況を他の状況に当てはめようとするのは正しいことではないだろう。というのもチェルノブイリと福島では条件が異なるからだ。
当然ながら私はこの状況ではWHOのレポートにあるように、0歳から18歳までの児童全員の健康状態を定期的かつ複合的に調べていくよう勧める。特に低年齢または胎児期に放射線の影響を受けた児童に対してはなおさらだ。」
今週、シピャギナ教授は大阪大学で日本放射線影響学会が開催する日露二国間交流事業共同研究の初会合に参加する。