ロシアの原子力研究大学が開発している原子核時計は、現存する最も優れた原子時計よりも、精度が100倍高い。この原子核時計を用いることで、ロシアのグロナス、あるいは米国のGPSなどの衛生測位システムをさらに向上させることが可能となる。原子核時計は、基礎科学にとっても重要だ。例えば、一般相対性理論を検証することができる。また原子核時計を基盤にして、レアメタル、石油、ガスなどの様々な鉱床を探したり、潜水艦やその他の対象を発見するための重力計を製造することもできる。
ロシアの学者たちが開発している原子核時計の動作原理は、放射性同位体トリウム-229の原子核イオンが定期的に変化するサイクルを計算したものに基づく。原子核時計の利点は、原子核のまわりを回る電子が、「電子のコート」のような役割をして原子核を保護するため、外部要因の影響を受けにくくなるということだ。これによって、ロシアの学者たちが開発している原子核時計は、現在普及している原子時計よりも、信頼性の高いものとなる。
原子核時計という新たな時間の測定法は、人類の技術発展全体のレベルに大きな影響を与えるだろう。国立原子力研究大学(MEPHI)の専門家たちは、ロシアの研究者グループのほかにも、ドイツと米国の学者たちが、原子核時計の製造に近づいているとの見方を示している。しかし、ロシアの研究者たちは、自分たちには複数の優れた点があると考えている。