アプルボーム氏によると、最近、重要な国際問題について議論する際に、米国の名が挙がることが少なくなっているという。一連の専門家たちは、米国の影響力の終焉の始まりは、第43代米大統領のブッシュ氏が、2003年に開戦したイラク戦争だとの見方を示している。アプルボーム氏は、当時、米国への支持をめぐって欧州の主要国間で分裂がみられ、米国を支持した英国は、後に高い代償を支払うことになったと指摘している。
なお、別のアナリストたちは、オバマ米大統領について、シリア問題で自身の立場を主張することができないほか、「IS(イスラム国)」に対する明確な戦略がない、として批判している。
アプルボーム氏によると、ロシアに関する問題でも、同じような分裂が起こっている。北大西洋条約機構(NATO)の軍事指導者の強硬な立場と、ホワイトハウスの楽観的なムードに食い違いが見られるというのだ。米国の次期大統領が、西側のリーダーという立場を取り戻することを望むならば、ブッシュ氏とオバマ氏の「遺産」を完全に処理するために、NATOとその全機関の抜本的な改革を開始する必要がある。
一方で、問題は軍事分野を超えている。我々には、新たな脅威に対処できる新たな機関が必要だ。アプルボーム氏は、欧州の多数の弱国の政治的独立を妨げる新たな脅威として、サイバー犯罪と多国間にまたがる腐敗行為を挙げている。