当初は核不拡散条約にも書かれていたように、核大国というのは1967年1月1日までに核実験を成功させた国に限定されていた。ところが現在はそれより後に同様の実験を済ませた諸国も核大国と呼ばれるようになっている。インドが初の核実験を行ったのが1974年、パキスタンは1998年。北朝鮮は最初は核不拡散条約に加盟していたが、2003年、形式的には条約の責任から自由であることを宣言している。
中でも特殊な立場を占めるのはイスラエル。イスラエルは核ポテンシャルを保有しているかとの問いに答えることなく、核問題の討議に積極的に参加している。イスラエルにはプルトニウムの精製を行う原子炉が2基存在しているというデーターもある。
社会政治調査センターのウラジーミル・エヴセーエフ所長は、イスラエルに兵器製造用のプルトニウムや、ひょっとするとウランの著しい量の備蓄があることもありえるとして、次のように語っている。
「イスラエルの核兵器保有は誰も疑っていない。核爆弾の数については意見が分かれており、私としては、ドルフィン型ディーゼル式潜水艦から発射できるようなものが200弾あると考えている。こうした潜水艦は1ヶ月はゆうに水中に潜っていられるもので、これには核弾頭を設置できるような巡航ミサイルが搭載されている。この他イスラエルはエリコ3型の大陸間弾道ミサイルを保有している。これは射程距離が4000キロをくだらない。またイスラエルには核兵器を搭載できる航空部隊もある。」
軍事核プログラムがすでに多くの国で開発されているという情報が時折現れるようになった。ブラジル、エジプト、サウジアラビアが核を保有する可能性も除外できない。これらの国はすべて、いや、それだけではない。これ以外の数十カ国にも実験用原子炉がある。これは核クラブに仲間入りする可能性を有していることを示す。だが、こうした可能性は今のところ国連および世界の大国の尽力で、核不拡散体制、核実験の禁止によって抑制されている。