枝野幹事長の発言は、日本の反戦運動家たちの間で、ある種の驚きを呼んだ。例えば、平和運動体「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」本部のメンバー、先崎有紀子さんは、ラジオ「スプートニク」のインタビューで、日本で近いうちに徴兵制が導入されるか可能性に疑問を呈し、自衛隊員の増員は憲法を変えなくても可能であるため、単に必要ではない、と指摘し、次のように語った。
「それは無理じゃないかなと、私は思います。というのは、やはり今の憲法を変えなければ、徴兵制というのは出てこないと思います。ただ、今の若者は正規職員になれなくて、非正規で働く人が増えているんですよ。学生も、就職口がないという状況が拡大しています。そこで自衛隊がそういう人たちに「就職先」として自衛隊がありますよ、と働きかけています。高校生にもリクルートをしているのです。貧困を利用して自衛隊員を増やす、ということは憲法を変えなくてもあり得ると思います。」
ロシアの著名な専門家で、元駐日ロシア大使のアレクサンドル・パノフ氏は、枝野幹事長の発言は時宜にかなったものだ、との見方を示し、次のように語っている。
「これは、日本の全体的な雰囲気に関係したものだ。日本の雰囲気は、急激に右寄りになってきている。絶えず日本に同情していた外国の観測筋でさえも、日本には常に超国家主義が潜在的な形で存在していたが、今はそれが表面化する恐れがある、と指摘している。この超国家主義の兆しは、新たな憲法解釈や、日本のメディアがますます政府によって管理されるようになっていることに現れている。このような状況の中で、枝野氏のような発言が出るのは、当然のことだ。私は、枝野氏が、個人的な意見というよりはむしろ、いま日本の社会や政界に存在する考えを発言したのではないかと思う。一方で、日本にとって徴兵制の導入はどれほど必要性があるのか。私は、それは理にかなわぬものだと思う。先進国をはじめとした世界の軍の大多数が、契約に基づいた、プロの職業軍人によって構成されるようになってきている。日本は、何のために徴兵制を導入し、自衛隊員を増やす必要があるのだろうか?集団的自衛権の導入を考慮した場合でさえ、行使されるのは、主に海上自衛隊となる。もし大勢の日本の陸上自衛隊員が、外国で何らかの作戦に参加するとしたら、それは日本にとって自殺行為だ。そのため私は、枝野氏の発言は、警告ではないかと考えている。それは、もし今、憲法に触れたら、その結果として、軍事分野で超過激主義が現れるかもしれないというものだ。」
問題は、日本が枝野氏の警告に耳を傾けるか?ということだ。