欧州委員会のユンカー委員長は、ギリシャには、国内に大量雇用を創出した場合、350億ユーロの拠出を行なう提案がなされたことを明らかにし、最終的な合意は今週末までに達成されると語っている。
前提合意はギリシャにとっては一貫性のないものとなった。ギリシャは欧州圏にとどまり、EUからの財政支援を受け取るものの、一方では妥協を余儀なくされ、社会の緊張拡大のリスクを犯すことになる。
債権者側は特定領域に対する税優遇策および農業生産者へのディーゼル燃料への特別課税を取り下げを要求したのに対し、ギリシャはこれに合意しなかった。その代わり、ギリシャ側は2016年からの法人に対する税率引き上げ、50万ユーロ以上の収益を上げる事業に対する特別徴収、高級車、プール、航空機、ヨットといった対象品目に対する奢侈税の拡大、およびTV広告、電子ゲームへの課税を提案しているほか、国防支出については引き下げを提案している。
ところがギリシャは、国庫の一連の措置の強化せよとのEUの圧力をかわせなかった。ギリシャ政府に近い情報筋によれば、ギリシャ政権は消費税引き上げなど、こうした一連の条件を飲んだ。
ギリシャはEUおよびIMFを相手に2400億ユーロを越す債務調整に関する交渉を行なっている。この額は2010年、2012年の2度、ギリシャ予算のデフォルト(債務不履行)救済の結果、蓄積されたもの。
債権者側はギリシャに厳しい経済措置を講ずれば債務返済が可能となると期待したが、見事に裏切られた。ギリシャは6月30日までにIMFに対し、IMFから受けた融資16億ユーロを返済せねばならない。返済が行なわれない場合、デフォルトと見なされ、ギリシャはかなりの高い確率でユーロ圏から出ざるを得なくなる。