「親日家であるプーチン氏が2012年に大統領に返り咲いた後、2013年4月、安倍首相が日本の総理大臣として10年ぶりに公式にロシア訪問しました。この流れ自体は好ましいものでした。日ロ関係は、それまで長く膠着状態にありましたからね。北海道民は大変期待をしていましたし、私自身も、北海道選出の議員として期待していました。その後で2プラス2(日ロ外務防衛閣僚会議)が東京で行われたり、安倍首相が、アメリカやイギリスの首脳が出席しない中でソチオリンピックの開会式に参加するなど、ロシア外交に積極的に力を入れる政府の姿勢が見えていました。
しかしいつのまにかTPP参加、日米同盟の強化、日米防衛協力ガイドラインの改訂など、日本はぐっと「アメリカ寄り」になってしまいましたね。米国追従型の政治を積極的にやっています。ウクライナ問題を受け、G7と足並みを揃える形で、日本も経済制裁に加わりました。これでロシアとの距離が遠ざかってしまったと心配しています。従来のアメリカは経済力も大きく、世界の警察官としての役割を果たしていました。しかし今は国としての力が弱ってきています。ですからアメリカは中国やロシアと関係改善をする必要が生じ、現に両国に接近しています。いっぽう日本は、ロシアの方にちょっと接近してみたかと思えば今度は米国にぐっと接近してみたりと、外交方針が見えません。このような外交のやり方をしていては、結果的に日本が孤立するようになるのでは、と危惧しています。
今年5月9日にモスクワで行われた対独戦勝記念式典には、アメリカの要請により多数の西側の首脳が参加しませんでした。かと思えば、安倍首相が先日訪米した際、オバマ大統領から「日ロ直接対話については慎重に検討してもらいたい」旨の発言がありました。しかしそう言うアメリカ自身はどうでしょう。5月半ば、ケリー国務長官がロシアを電撃訪問し、ラブロフ外相、プーチン大統領と会談を行いました。これは何を意味するのか。アメリカはどういう意図をもって、日本に対して慎重さを求めると同時に、自分自身は別の行動をしているのか?ということを考えて対応しなくてはなりません。
安全保障上も、中国による領海侵犯の回数が増えています。中国を警戒しなければならないとなると、日本は厳しい立場に追い込まれていきます。これを防ぐためにも、ロシアとの結びつきを強めることは重要です。プーチン大統領にはぜひとも日本に来てもらい、外交の結びつきを強化し、平和条約の一日も早い締結が実現することを望みます。」
聞き手:徳山あすか