ロシアは同行の指導部に一定の席数を得ることを要求している。駐中国ロシア大使アンドレイ・デニーソフ氏は、現在北京で開催中の世界平和フォーラムで、この要求がロシアの経済力や国際銀行の慣行からは至当なものであることを、次のように述べた。「国際銀行の慣行には、厳密な、また誰にも認められた基準として、授権資本比率、決定権の多寡といったものが存在する。決定権の多寡は、GDPをはじめとする経済指標にしたがって決められるものだ。ロシアはアジアインフラ投資銀において、少なくとも上位5カ国に入る。よって、同行の経営・運営において、しかるべき発言権を主張してよいのだ。ロシア人が国際銀行の役人として同行のあらゆるポストで活発に仕事を行うことを我々は望んでいる」。
駐中国ロシア大使はまた、ロシアがアジアインフラ投資銀に参加し、その創設メンバーとなったのは、単なる政治的ジェスチャーや、結束の証などではなく、高度に具体的な意義を持つことだった、と語っている。「それは何よりも、自らの国益の自覚、そして、同行への加盟を通じた、その実現ということだ。ある試算では、アジア太平洋地域におけるインフラ建設需要は極めて高く、その額は数千億米ドルに上るとされる。世界銀行やIMFのような金融機関の資本では、それはカバーできない」と同氏。
ロシアのアジアインフラ投資銀加盟について、ロシア経済発展省のスタニスラフ・ヴォスクレセンスキイ次官は次のように語っている。
「ロシアはアジアインフラ投資銀のリージョナル・メンバーになった。いま、その参加の、具体的なパラメーターについて、交渉が行われている。ロシアは規模において第3位となる参加を要求している。理事会や取締役会に席を得られるよう望んでいる。つまり、同行における我々のパートナーたちと一緒に、同行の政策に影響力を持つことを望んでいる。そうすれば、関税同盟におけるパートナー諸国とともに、同行における融資にとって興味深いプロジェクトを提案することが出来るようになる。そうしたプロジェクトは既にあるし、新しいものも策定中だ」
アジアインフラ投資銀は2014年、中国主導で創始された。アジア太平洋地域におけるインフラ・プロジェクトに融資を行うことを目的とする。本部は北京に置かれる。ロシアは今年3月にこれに加盟した。中国財務省によれば、現時点で同行には57カ国が加盟している。