パノフ元駐日大使:日本の社会には報道の自由を守るチャンスがある

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自民党の若手議員らが普天間基地の県内移設の決定について政府を批判した2つの沖縄の新聞に対し措置を講じ、メディアに対する政府の管理を強めるよう呼びかけたことで、スキャンダルが続いている。

米国・カナダ研究所の主任研究員で元駐日ロシア大使のアレクサンドル・パノフ氏は、「自民党自身が若手議員の発言を批判し、当該議員を処分しているものの、こうしたスキャンダラスな発言が出たことは偶然ではなく、このことは非常に不愉快な兆候である」と語っている。

「前にも言ったが、日本の政治的空気全体が著しく右傾化し、愛国主義が強まっている。理由はいろいろあるのだが、中でも重要なのは、日本が近年、その経済的なポジションを中国に奪われたこと、また、その中国が、強大な国になり、旺盛かつ執拗な政策を強めることを恐れているということだ。こうした中、安倍晋三首相は、まず第一に、日本が活力を取り戻し、そのエネルギーをもって経済的な逆境を克服し、日本ここにありというところを誇示するべく努めている。第二に安倍氏は、中国からの軍事的・経済的脅威から日本を守ることを望んでいる。だからこそ安倍氏は社会の中のナショナリスティックな気運にアピールするのである。

こうした全てのことが、3年くらい前から始まった空気感に溶け込み、それがもとで、日本という国は第二次世界大戦について謝るということを特に忌避する国だ、と見られるようになっている。こうした全てのことによって、ジャーナリストらも、情報が手に入りにくくなったとか、国はマスメディアへの関与を強めようとしているとかと苦言を呈するようになり、公共放送NHKは政府の路線だけを伝える媒体となり、朝日新聞のような左翼的メディアには一定の圧力が加えられるようになっている。こうした文脈からは、自民党の若手議員らの振る舞いも、全く偶発的なものとは見えない。思うに、彼らは誰に唆されたのでもない。日本に広がる空気そのものが、社会の翼賛が必要だと考える者たちを唆し、あのような発言を行わせるのである。
日本国内では既に、今の状況は1930年代と似ている、との指摘が見え始めている。実際の状況はまだそこまでは行っていないだろうが、予断は許さない。日本の民主派勢力も外国の専門家・アナリストらも、そのことに注意を向けている」

— そうした愛国主義的・翼賛的潮流に対抗する動きが民主派から出ることを期待できるだろうか。

「自民党の若手議員による、マスメディアを統制せよ、との呼びかけに対し、国内であれほど否定的な反響があったところを見ると、こうした潮流に反対する勢力は存在するらしい。第二次世界大戦終結後のこの間に、平和主義は日本に深く根付いている。平和主義はまだ相当強固である。ゆえに、翼賛体制や軍国化が早急に進むとは考えていない。ただし、そうしたプロセスが始まったこと自体は明らかなことである。それが停止するか否か、民主主義への揺れ戻しが起きるか否か、それは日本国民が選挙で決めることだ。その選挙において、現政権の趨勢も決定する」

自民党が政権党に留まる否か、どのような組成になるかということが、多くのことを左右する、とパノフ氏。

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