第7回EU中国サミットはユーロ圏の問題が高まっている中での開催となった。しかし、サミットが困難な経済状況の中で行われることは初めてではない。ただし、現在の状況はギリシャ危機および、ギリシャがユーロ圏から離脱する見込みなどで、一層困難になっている。
無論中国は、客観的に、欧州統合が破綻し、欧州市場が混乱することを、自分の得になるとは思っていない。ユーロを支持し、ドルの対抗馬となるものを作り、中国の対外経済パートナーの最重要格である欧州の各経済主体を安定させることは、中国の国益に適う。しかし、中国は、貿易経済協力の拡大の戦略的展望に加え、EUからすぐにも極めて具体的なものを受け取りたいと考えている。それに、中国が強くなれば強くなるほど、貿易パートナーたちとの交渉において中国はより多くのものを要求するようになるのである。ロシア科学アカデミー極東研究所のセルゲイ・ルジャニン所長はスプートニクの取材にそう答えている。
公表されたサミットの成果文書によれば、EUと中国はこれから数ヶ月のうちに、エネルギー部門の協力に関するロードマップに調印をする意向である。あるいはこれにより、太陽エネルギー関連製品の貿易に関する両者の食い違いも均されるかもしれない。欧州の諸企業は中国の中に、太陽電池その他の太陽光発電部品市場における主用な競争相手を見出している。また、知的所有権保護、関税部門の協力、技術革新部門に関する合意にも調印がなされた。
しかしこうした両者の協力に関わる重要な問題も、ギリシャ問題で曇らされてしまった。李克強首相は、中国はユーロ圏の安定を望んでいる、と語った。あわせて首相は、債権者らに対し、早急にギリシャとの合意を達成し、ギリシャをユーロ圏にとどめるよう呼びかけた。
中国現代国際関係アカデミー世界経済研究所のチェン・フェンイン所長によれば、ギリシャ経済問題は欧州の問題である。スプートニクの取材に対し、氏は次のように述べた
「我々は、欧州が然るべくこの問題を解決するように望んでいる。思うに、ロシアも中国もひとつの立場を共有している。世界経済の様々な国・地域が、世界経済における相手方である欧州が、しかるべき解決の計画を持つように望んでいる。ギリシャの混乱は世界経済を混乱させ、その被害はあらゆる国に波及しかねない。私見では、いまは中国にとってギリシャを直接支援する時ではない」
サミットによって、EUと中国の経済協力関係の発展も、引き続き、政治問題によって曇らされる、ということが分かった。欧州理事会のドナルド・トゥスク議長は、人権状況への遺憾の意を示し、あわせて北京に対し、ダライ・ラマの代表者らとの対話を再開するよう呼びかけた。しかしなお、両者は、EU・中国関係の中に作られた対話メカニズムの枠内などで、妥協を見つけるべく努めるだろう。トゥスク氏は、人権問題の対話の次なるラウンドは今年11月になるという。おそらく、EUは、自分自身が抱える問題のために、中国に対する要求をいささか和らげることになるだろう。より大きな支援が中国から得られるように、との期待を込めて。