WikiLeaksサイトに掲載された7点の文書のうちの一つに、次のように記されている。「EU貿易課長ヒド・フーベン氏はフランスのジャン・フランソワ・ブタン経済大臣補佐官に対し、TPPは中国との抗争のために作られたように見える、と述べた」。
TPPは野心的な貿易合意である。米国とアジア太平洋地域の12カ国の間に現在交渉が行われている。この13カ国で世界経済の4割が占められている。
フーベン氏によれば、米国は「中国と国境を接する各国と交渉を行っており、これら各国の行政上の権限を越えるような条件を呑むよう要求している。その目的は中国との抗争を誘発することにある」。
同氏はまた、交渉が10年間続いた場合には、交渉の妥結は望めないだろう、としている。なぜなら、その間に「世界と中国は一変し、諸国はTPPになど関心を持たなくなるだろうから」。かくして全てのイニシアチブは水泡に帰す、と同氏。
もしTPPプロジェクトが破綻したなら、米国はWTOに回帰する以外の選択肢を持たないだろう、とフーベン氏。同氏は、米国の交渉上の戦略に、極めて批判的だ。
同氏の結論によれば、「アジアに対してこのような術策を用いるということは、米国が中国やブラジルを含む新興国と本気で交渉を行う気がなく、またWTOの発展に関する現実的かつ実効的な計画を持っていないことの証拠だ」。
今回WikiLeaksに公表されたこの書類は、米国がフランス政府をはじめとする主要な同盟国の全てに対し長期的かつ包括的な諜報活動を行っていることを示す、さらなる証拠である。