それによれば、署名を行ったのは26万1159人。10万人を超えるとオーストリア議会はその問題を討議しなければならないが、その二倍半が集まった形だ(6月24日から7月1日の間に10万人が署名)。
仕掛け人は政治団体「祖国と周辺環境」のリーダー、インゲ・ラウシェル氏(66歳)。同氏はスプートニクの取材に対し、「今回の署名はオーストリアの市民運動の大いなる成果だ」と語っている。
「マスメディアの大規模ボイコット、乏しい人的・財政的資源、夥しい官僚主義的怠慢といった条件の中でこれだけの署名が集まったということは、大いなる成果だと言ってよく、このことをオーストリアの歴史から捨て去ることは出来ない」とラウシェル氏。
「EUは民主主義でも何でもない。むしろ、民主主義の発展にとっては、暴力的な後退だ。そのことは多くの人が感じている。我が国では失業者も増え、国の債務も膨らんでいる。あらゆる方面で状況が悪化している。ブリュッセルからは、お金のかかる、しかし意味のない注文が押し寄せ、官僚主義的雑事が山のように要求される。EUに入っても、いいことは何もなかったのだ。大手多国籍企業の支配がとことんまで進んだ。EUはあの手この手でそれを進めた。中小企業にとっては、そうした路線は壊滅的に作用した」とラウシェル氏。
同氏によれば、オーストリアの問題はオーストリアの固有の問題というわけではない。EUの多くの国がEU脱退を望んでいる可能性もある、という。
「何も忠告めいたことは言いたくない。それぞれの国がそれぞれの決定を取るべきだ。でも私が思うには、また多くの人の考えでは、EUという実験の根幹をなすユーロという通貨は、長くはもたないだろう。それを見越して動き、EUから脱退するのが早ければ早いだけ、経済状態は良くなるだろう。誰にとってもだ。私たちだけではない。私はオーストリアを何も特別なケースだとは考えていない。EUの全加盟国が同じ運命にあるのだ」とラウシェル氏。