報告書によると、相互制裁で一番打撃を受けるのが、地理的にロシアに近く、ロシアとの取引量が多い国だ。フィンランド、バルト諸国、東欧諸国は、長期的にGDPの0.8%に上る損失を出す恐れがある。絶対値で一番損失の規模が大きいのがドイツで、その額は223億ユーロに上るとされる。
これを見ると、欧州、とりわけ中欧・東欧諸国で、ビジネスマンらが絶えず、対ロ制裁の解除への呼びかけを行っていることも、全く驚くには当たらない。対ロ制裁が解除されればロシアによる一部EU諸国の製品への輸入禁止が解除される筈だ。先週はドイツの実業家が制裁解除を訴えた。ドイツ経済東方委員会のエックハルト・コルデス代表は、「現在の状況は我々の最悪の想定をも上回っている」と述べた。しかしEU諸国のリーダーたちは、今のところ、対ロ制裁を見直すことに関して、何のシグナルも発信していない。