以下、ニューヨークタイムズ紙の記事の概要をお伝えする。
ギリシャの国民投票を受けて、これからギリシャとEUの対立がどう解消されるか、予断は許さない。ところで債務交渉の渦中にあるもう一つの欧州国家、 ウクライナは、既にギリシャから教訓を引き出し、債権者側に対し、ウクライナからの債務の大部分の支払いを諦めるよう、提案している。ウクライナは債権者側と終わりなき訴訟を続けるのがいやなのである。
ウクライナは西側諸国からの財政支援を受け入れ続けている。しかし、ウクライナ政府は、ウクライナ南部・東部で戦闘行為が続いている間は、支払いを行う必要がない、と考えている。ウクライナはIMFから支援を受ける際、融資元に対し、債務の償還を一部諦めて欲しい、さもないとウクライナを危機から脱出させる計画がうまくいかず、交渉はギリシャのように何年にも渡るものとなってしまう、と訴えた。
ウクライナ政府は、債権者の側にも問題がある、と主張する。彼らがヤヌコヴィチ政権に巨額のローンを貸し付けたから、状況が悪化したのだ、と、債権者側に訴えている。債権者側は自らの行為を、次の単純な見込みでもって説明している。彼らは、ロシアもしくはIMFが結局はウクライナを支援し、いずれにしろ貸した金は全額返ってくる、と確信していたのだ。その確信は、今、揺らいでいる。7月24日にはウクライナのユーロ債の利払いが行われることが決められた。
フランクリン・テンプレトン社のトップ経営者らは、債務の償還期限は大統領や国会議員の任期より長いのであるから、債務を担うのは現時点の政府でなく、国なのだ、と語っている。もし債務削減を拒否すれば、それはウクライナの金融市場復帰と復興を加速するばかりだ。
IMFもウクライナの言い分を認めていない。その言い分とは、もし前政権の政策に同意しないのであれば、そのことは前政権の債務を現政権が履行する義務を免じてくれる、そして債権者には「損失に耐える覚悟をしてください」と言うことになる、というものだ。