「毎日新聞の世論調査のみならず、様々な新聞、ネット上の世論の動きを見ていますと、今の安倍政権が進めている安保法制ついては第1に十分な説明がなされているとは思えないと回答している人が圧倒的に多いわけです。
なぜかと言うと、安倍政権はいわゆる憲法学者といわれる人たちを次々と国会に呼び、今回の安保法制が日本の平和憲法に合致しているかどうか、つまり合憲か違憲かという極めてテクニカル、つまり法律的な観点から議論を進めているので、こういう問題はなかなか一般の国民には実はわかりにくいんですよ。砂川判決の事例をひっぱりだしたりしていますが、当時と今では全く安全保障の環境が違っているし、ホルムズ海峡での機雷掃海についてもいろいろいっていますが、それも多くの国民にとってはぴんとこないんですよね。
でも何が一番問題かと言うと法律、憲法の専門家、学者を次々呼んで、これに内閣法制局の長官が出てきて、それについて法律の専門家の観点から国民を納得させようとしているので、そこに大きなギャップがあるんですよ。ですから多くの国民が何を議論しているのかさっぱりわからないと答えるのは当然のことだと思います。
ですから今、安倍総理が必要としているのは憲法の専門家の意見だけでなく、国際政治、あるいは広く、日本が直面している食糧やエネルギー、環境、サイバーなどいろんな分野で日本の安全を取り巻く環境がドラスティックに変わりつつあることについて、わかりやすく国民に問題提起をして、今の状況では様々な新たな脅威、課題に十分対応できる仕掛けができていませんよと、これをどうやって抑止力を高めるのか、そのなかで米国との連携プレー、あるいはオーストラリア、ASEANの国々との協力、また究極的にはロシアや中国、朝鮮半島を含む様々な国との相互理解といったものをどうやって加速させるか、これが安倍総理のいう積極的平和主義外交の根幹を担うわけですから、そういう大局的観点から国民に分かりやすく丁寧に説明することをやらないと、国民の納得、理解、支持は得られないと思います。」