生物多様性が専門のジェレミー・カー氏率いるオタワ大学の研究チームは、北米および欧州に棲息する様々な種類のマルハナバチに関する、1975年から2010年に作成された報告書42万点に当たり、マルハナバチの生息域がどのように変化したかを調べた。結果、67種(北米31種、欧州36種)がかつての生息域の南限から北へ移動していたことがわかった。
このような移動は、たとえば蝶など、他の昆虫にも見られる。しかし蝶と違い、マルハナバチはより高い緯度に生息域を広げることが出来ない。北には別の種類のマルハナバチが住んでおり、それらは移住を必要としていない。よって、グループ同士の衝突が起き、全体として頭数の削減が引き起こされる。
こうした動きの原因として、農業、寄生虫による生息環境の変化や、ネオニコチノイド等の殺虫剤の使用などが考えられている。
今のところ、マルハナバチを守るためにどのような方策を取ればよいのか、分からない。しかし方策を見つける必要はある。マルハナバチは多くの植物の授粉を担い、人間や野生動物の食物を保障している。頭数削減で、生物多様性の低下から食料品価格の高騰まで、様々な問題が引き起こされる恐れがある。