ナショナル・インテレスト誌は、米国とギリシャの経済は大きく異なるものの、それが「米連邦予算の暗い先行き」を憂慮しないでいいという根拠にはならない。
米上院予算局が試算したところ、あるシナリオでは、債務額は2039年までに180%を越え、現在のギリシャの債務額を上回る。ナショナル・インテレスト紙の記事によれば、米国債務はすでに危険なゾーンにあり、将来の経済成長に否定的な影響を及ぼしている。
様々な学研調査の結果、経済成長率は国の債務額が高いレベルにあるときは著しく鈍化することがわかっている。特に高度経済国がGDPの85-90%ないしそれ以上の巨額の債務を抱えた場合、債務レベルの低い国よりも成長率は低い。米国債務もあと10年もすればそれだけの額に達する可能性がある。
ナショナル・インタレスト誌はギリシャと米国の抱える予算問題は類似しており、長期的には社会福祉費の増大によって米国経済は破綻する危険性があると指摘している。連邦レベルでは社会保障費、連邦医療保険プログラムなど保健分野の様々なプログラムが予算の半分以上を占めている。これについてナショナル・インタレスト誌の記事は、現在、米国の全支出の70%近くを占めるこうしたプログラムの支出はこの先ますます拡大すると書いている。
「重要だが、支持されない措置を予算改革の枠内で実現するということは政治的には容易な解決ではない。だがギリシャの例のように改革を先送りし、状況が危機的なレベルまで達してしまえば、激しい痛みを伴う緊縮経済策を行なわざるを得なくなる。」
ナショナル・インタレスト誌の記事の結びには、米国政府は予算問題の解決を時期をはずさずに行なうべきであり、さもなければさらに悪い事態が待ち受けることになると書かれている。