その例として菅原氏は、今年5月にモスクワの「エキスポ・センター」で開かれた「国際金属加工展2015」を挙げ、次のように指摘したー
「今年、この展示会に参加した企業は32カ国、1200社を数えた。国単位での展示スペースであるナショナル・ブースを設営した国は、ベラルーシ、中国、チェコ、フランス、ドイツ、スロバキア、スペイン、スイス、台湾の9か国だった。
このロシアにおける最大にして、最古の展示会で、今年は非常に大きな変化が生じていた。参加企業が昨年の1036社から、1200社と大幅に増えた。その理由はロシア企業の参加が500社を超える増加を示したためだ。会場は、全期間を通して大変な混雑ぶりだった。主催者の発表によれば、今年の入場者は昨年の2万9000人から3割増加した。また、昨年まではガラガラだった国内企業が出展する第2、3パビリオンに客が集中していた。
現在多くのロシア企業が、再び市場に出てきた。いくつかの企業は合併し、新しい製品を作っている。
ロシアに対する制裁導入は、ロシアの工作機械製造業に新しい命を吹き込んだ。また先端技術領域でも、高いレベルでの発展が見とめられる。
7月5日から工作機械メーカーを中心とする視察団に加わり、ロシアにおけるチタン加工の現場を視察する機会を得たが、その視察対象の1つが科学技術での改革をテーマとしたエカテリンブルグでの展示会「インノプロム-2015」(第6回国際工業展覧会)だった。 展示会には、ロシア産の装置を展示するブースが多かった。中でも多くの訪問者の関心を集めたのが、F.O.R.T.プロジェクトのブースだった。これは「バルト工業」社とチェリャビンスク州のトレフゴルヌィ市にある
「プリボロストロイーチェリヌィ(器機製作)」工場の共同プロジェクトで、2014年に立ち上げられた。この会社は、台湾や韓国及びオーストラリア企業のライセンスで工作機械を製造している。
対ロシア制裁が導入されているにもかかわらず、ドイツや米国の企業は、ロシアとの経済活動を続けている。いくつかのロシアの工場を訪れたが、そこでは、まだ梱包されたままの新しい輸入機械を目にした。箱には「Siemens」の文字があった。ロシアとドイツの間の特別な関係を感じた。しかし米国も、自分達の利益を忘れてはおらず、ハイテク製品のロシアへの輸出を続けている。」