以下、同誌の記事の大略をご紹介する。
ウクライナ東部紛争に対する意見の不一致はあれど、米国は中央アジアにおいてはロシアのプレゼンスを必要としている。中央アジアでは両国の国益は一致しているのである。つまり、テロとの戦いだ。2015年4月、ロシアのタジキスタン部隊の司令官は、「ロシアは2020年までに中央アジア軍を5900人から9000人に増強する」と述べている。2か月後、その措置が時宜を得たものであることが、誰もの納得するところとなった。タジキスタンのOMON(特別任務民警支隊)の司令官が、イスラム国のテロリストらの戦列への加入を宣言したのである。イスラム国の同地域への影響は限られているものの、中央アジア諸国、ロシア、米国は、イスラム国抑止に向け準備する必要がある。
ロシアは多年にわたり中央アジアに権益を有している。集団安全保障条約機構の枠内でロシアがカザフスタン、キルギス、タジキスタンと結んでいる関係は、テロとの戦いにおいて建設的な役割を演じている。ロシアは旧ソ連邦の南の国境に接する領域における暴力やテロの抑止を自国の利益にかなうことと見なしている。イスラム国の影響力がソビエト後の空間に拡大することは米国や中東におけるその同盟国にとっても問題となりうる。
米国とNATOの地域におけるプレゼンスが減少するなか、ロシアがこの地域で安定のための要石の役を果たすかも知れない。米国とロシアは、中央アジア諸国の安全保障上の共通の利益を尊重しつつ、国益が相互に矛盾する問題についても今後交渉を進めていくための基礎を築くことが出来るかもしれない。
ロシアのタジキスタンへの軍事プレゼンス拡張、さらにはタジク・アフガン国境へのロシア兵の将来的な回帰についてさえ、米国は無言の同意と静かな支持を与えるだろう。相互の国益の尊重によって、今後、ロシアと米国で国益が背反している問題についても、解決していく基盤が作られるだろう。
ナショナル・インタレストは以上のように報じた。