最も多かったのは中国からの旅行者で、約210万人だった。ロシアからの旅行者は、昨年同時期比17.5パーセント減の2万5000人超だった。日本を訪れるロシア人旅行者が減少したのは、ロシア人の日本への関心が低下したからではなく、他の理由によるものだ。その中に、ロシア通貨ルーブルの下落がある。これは、航空券代とホテル代の値上がりを引き起こした。また、国内旅行の人気も高まった。そして、日本を訪れるロシア人に人気の高い季節は、桜が咲く4月と、紅葉が美しい10-11月だ。6-7月に日本を訪れるのは、主にロシアの極東に住んでいる人々だ。
外国人旅行者に人気のあるロシアの都市では、常にモスクワとサンクトペテルブルグがトップに立っている。しかし2015年、ウラジオストクが初めて3位となった。プーチン大統領が、ウラジオストクに「自由港」の地位を与える法律に署名したことによって、ウラジオストクの魅力はさらに高まるはずだ。近年、アジア太平洋地域の人々の活動範囲が拡大しており、沿海地方は、観光分野を含む、様々な分野の多面的な国際協力にとって有望な地域だと考えられている。
なお、好みという点では、流行は世界共通だ。人気があるのは、文化観光だ。しかしロシアのツアーコンダクターたちは、日本人の間では、観光における食事の楽しみも重視されていることを指摘している。ロシアを訪れる日本人旅行者は、初日に、スープの「ボルシチ」、ロシア風クレープ「ブリヌィ」、総菜パン「ピロシキ」、そしてロシア風の水餃子「ペリメニ」を食べる。また、ウォッカも試す。帰国してから、「私はロシアで本物のウォッカを飲んだんだ!」と言うために、ほんの少しだけ味見する人もいる。
「中国では、大勢の高齢者が、ソ連をとても懐かしがっています。彼らは、ソ連の作家の作品を読んで育ち、若い頃にはソ連の歌を聴いていました。彼らにとってレーニンやその他の革命家たちは、崇拝、そして憧れの対象だったのです。これらの人々が今、ロシアを訪れる中国人旅行者を増加させています。彼らにとって、『赤のツアー』は、とても興味深いものなのです」。
リュウ所長は、ロシア人旅行者も、毛沢東の家博物館などを訪れる中国版「赤のツアー」に関心を表すことに期待している。しかし恐らく、そのようなことは起こらないだろう。なぜなら、ロシアの年金受給者たちが外国へ旅行に出かけることは稀であり、若者たちは、中国の共産主義者の歴史的過去には、全く関心を持っていないからだ。