秘密ではないが、様々な分野の日本企業の(日本に限らないが)上層部は、女性職員が出産・育児休業を取ることに冷たい。多くの女性職員は、もし能力があって将来を期待されていたとしても、出産によって出世の道にストップがかかってしまう。多くの女性は、子供を産んでから2年後に職場復帰することに異存はないが、一連の日本企業のボスたちは、休んでいた2年間で女性職員の専門能力が著しく低下すると確信している。また小さな子供がいることで、幼い子供を持った女性職員が突然仕事を止めざるを得ないという予測不可能な事態が生じるリスクも高まる。そのため、幼い子供を持つ日本の母親たちは、パート・アルバイトを選ばざるを得ない。だから安倍首相は、出産・育児休業を取った女性たちの円滑な職場復帰を優先政策の一つとしているのだ。安倍首相は、日本経済成長のカギは女性にあるとしている。安倍首相が、女性職員のために仕事と私生活の好適なバランスをつくり、有給休暇の取得を促進する企業を国が支援すると約束したのは、理由があってのことだ。
一方で、安倍首相が目指す「ウーマノミクス」という女性の活躍推進を成功裏に実現することを客観的に妨げている別の要素もある。奇妙に聴こえるかもしれないが、その一つは男女平等だ。女性の中には、男性と同じ状況で働くことを望んでいる人たちがいる。出世街道を駆け上る日本の女性たちの中には、男性に一歩も譲る気はないという人たちがいる。世論調査によると、日本の女性たちは、結婚などによって自分の出世や自由を奪われたくはないと思っている傾向があるという。また、出世の代償としての孤独は許容できるものであり、それを自ら望んでいる女性たちもいる。日本では、未婚の女性および男性が増え続けている。日本にある「ロシアクラブ」のミハイル・モジェチコフ総裁は、この状況について、次の様に語っている。
「日本にはたくさんの専業主婦がおり、政府はこの女性たちを自宅から外へ連れ出したいと考えています。もちろん日本では今、働く女性が増えました。しかしそのような女性は、結婚した後に働いている人たちではなく、最初から出世を目指していた人たちです。もし女性が自分の生活を自分で保障することができるならば、なぜ彼女は夫という重荷を背負い込む必要があるのでしょうか?日本の男性は一般的に、家庭よりも仕事にたくさんの時間を費やします。そこで葛藤が生まれます。自立した働く女性たちの出生率は低下しています。そのような女性は増え続けています…」。
よく知られているように、出生率が高いのは、第三世界の貧しい国だ。日本の生活レベルは十分に高く、誰もがそのようなレベルの生活を送りたいと思っている。快適さへの要求が高まり続けているこの時代、日本人は家族の生活レベルを高い水準で維持するためにはたくさん仕事をして、その後で結婚し、子供を産むべきだと考えている。なお、このような要素を持っている国は、日本だけではない。そのため、現代社会における女性の役割を高めることが、来年日本で開かれるG7サミットの重要テーマの一つになるのかもしれない。