その文書によれば、2013年時点で、TPP交渉参加諸国は、合意諸国の国営企業は「商業原理をもとに決定をとる」こと、また財・サービスの購入または販売にあたっては民間企業を「差別しない」ことで合意した。結果、政府が国営企業の活動において深刻に制限され、大手民間企業により大きな自由を与えることになる。
「国営企業が国家に帰属するのは、それが商業以外の機能を持つからだ。たとえば、国営企業は必要な社会サービスへのアクセスを保障する。また、その商業機能と文化・社会的機能はあまりに緊密に結びついている」オークランド大法学部のジェイン・ケルシー教授はそう語る。
国営企業は新興国でも先進国でも大きな役割を演じている。その肯定的な役割は国連でも認められている。その理由はまさに、国営企業が市場の論理だけに従うものではないことにある。市場原理は最貧層に害をなすこともあるのである。
欧州経済政策調査センターによれば、フォーブスのトップ2000企業リストで、国営企業の資産総額は3.6兆ドルに上っている。
TPP参加国の今回の交渉ラウンドは今、ハワイで行われている。最終的な交渉であり、合意は間もなく得られるだろうと、多くの人が考えている。しかし、TPPにかんする情報の大部分が、いまだに秘密であり、社会はWikileaksによる暴露を通じてしか情報にアクセスすることが出来ない。