ドムリン氏は次のように述べた。
「国際法の世界には、「隠された拒否権」という概念がある。隠された拒否権とは何か。1991年以来ロシアが行った13回の拒否権行使、または米国による14回のそれは、表面にあらわれたものだけだ。それまでに、多くのケースで、国連安保理常任理事国が公然とパートナーたちに次のように語っていた。すなわち、「君たち、投票は行われない。我々は拒否権を発動する。だから決議を変えるか、問題を撤回しようではないか」と。これは全くよくわかる慣行だ。隠された拒否権は表に出た、公的なそれよりはるかに頻繁に行われているのだ。
君はスパイをつかまえた、君はスパイを見つけた、このとき2つの可能性があるが、君はもうそれを見つけた、座らせておこう、働かせよう、君はもう知っている、背中に屋外広告を立ててやれ、もはや彼は君に何らの害ももたらさない。または、スキャンダルを起こしてやれ、彼の国外退去をめぐって騒ぎをし、かわりに君は自分自身のスパイたちを手に入れる。これが隠された拒否権と公然たる拒否権の差である。
もちろん隠された拒否権は、より頻繁に用いられるやり方である。ロシアは当初からこれを利用しようとしたが、ご覧の通り、失敗した。そこで公然たる拒否権を使うことになった。これでロシアのイメージがさらに悪化した。国際法廷開設の試みに誰かが反対したとなると、その人は真実が解明されるのをおそれているのだ、となる。それがロシアというわけだ。
もちろんロシアにとってよい選択肢などなかった。あったのは悪いそれと最悪なそれだけだ。悪い選択肢の中からよりましなほうを選んだのだ」。