しかしこの度、独自の原子炉プロジェクトを持つ中国がイラン市場に参入し、中国とイランは、イラン南部に原発2基を建設することで合意した。「The Diplomat」は、中国がロシアをイランから「追い出そうとしている」との見方を示している。
「ロスアトム」は従来どおりイランの原子力分野において支配的な地位を維持している。「ロスアトム」は、ブシェール原発の新たな原子炉建設についてイランと合意を結んだ。建設は短期的および中期的に行われる。合意には、ロシアがイランでロシア設計の4つの原子炉を備えた完全に新たな原発を建設することも規定されている。その他にも「ロスアトム」は2015年上半期、原子力分野における一連の合意や契約を結んでいる。最も有望なプロジェクトは、トルコのアックユ原発の建設だと言われている。その他にも、ヨルダンの原子力発電所の建設に関する協定も結ばれた。2015年2月には、ロシアとエジプトの大統領がエジプト初の商業用原発の建設にむけた事前協定に調印した。4月にロシアのメドヴェージェフ首相がベトナムを訪問した際には、ベトナムでの原発建設および原子力科学技術センターの設立に関する合意締結に向けて最終段階に入ることで合意に達した。サウジアラビアとの合意は、原子力エネルギーの発展分野におけるロシアとサウジアラビアの二国間協力のための法的枠組みを作り出した。
「The Diplomat」は、原子炉の国際市場におけるロシアセグメントの拡大は、ロシアにとって政治的優先事項であるとの見方を表している。これは論理にかなっている。ここで国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長の発言を思い出してみよう。天野事務局長は今年6月、ペテルブルグ国際経済フォーラムで演説し、ロシアは原子力分野の最も先進的な経験を有し、原子力技術を積極的に発展させており、その技術は未来の原子力で利用されるだろうと述べている。