サヴィツキー農相は、「プーチン大統領殿、食品を廃棄しないでください。自国の国民がそれらを購入することを許し、ポーランドとEUが提供するロシア社会との開かれた協力に関する良い提案として利用してください」と訴えた。
ロシアは一年前にEU加盟国と米国が新たな制裁を導入したために農作物・食品の禁輸措置を行った。EU加盟国と米国の肉、乳製品、果物、野菜、ナッツ類などが禁輸対象となった。なおロシア政府は対ロシア制裁における日本の立場が控えめであることを考慮し、日本の食料品は制裁対象外とされた。
ロシア連邦獣医植物検疫監視局のアレクセイ・アレクセンコ氏は、 ポーランド農相の発言について、次のように語っている。
「私はこのような感情的な発言、敏感にならざるを得ないことが理解できます。なぜなら制裁措置が我々に与える影響は大きいからです。ですがここで考えてみましょう。なぜこのような措置が取られたのでしょうか?私たちは、欧州連合(EU)加盟国からの密輸食品が増えるという状況に直面しました。特にポーランドとドイツから豚肉、またポーランドからリンゴと乳製品を密輸しようとする試みが多くなりました。農産物や食品には偽の獣医・植物検疫証明書が添付されており、実際にどこで生産されたものなのかが不明瞭でした。もちろんスラブ民族には食料品を廃棄するような習慣はありません。これは罪です。しかしあらゆる種類の偽書類は嘘であり、罪より軽いとは言えません!もちろん私たちは嘘を多めに見ることはできません。そこで私たちは密輸の道に防壁をつくりました。食品の廃棄は、状況をコントロールして落ち着かせる最も効果的な方法であることが分かりました。最初の2日間で350トンの違法食品が処分されました。そして密輸はすぐに止まりました。なぜなら農作物の運ぶためにトラック1台を借りたら約5万ドルもかかるからです。密輸業者は、これほどたくさんのお金を失いたくはありません!また私たちは、大勢のロシア人たちから十分に強い圧力も受けました。彼らは違法食品を廃棄せずに、例えば人道的大惨事に遭っているドンバスの住民、あるいは孤児院や老人ホームなどにプレゼントするよう私たちを説得しようとしました。ですが考えてみてください。
このような疑わしい食品が人間の健康にとって安全であることを誰が保証できるというのでしょうか?そんなこと誰もできません!ですから私たちは食品の廃棄という方法で密輸との戦いを続けます。なおここで指摘しておきたいのは、制裁の発動を提案したのはロシアではなく、西側です。特にEU加盟国です。これは一種の恐喝のようなもので、私たち全員にとって高くつきました。私はポジティブに考え続けます。あるいは、制裁が解除され、ロシアと欧州の私たちのパートナーとの経済およびビジネス分野における相互に有益な関係が徐々に回復する時が来ると信じています。しかしいずれにせよ、いかなる条件の下でも私たちの国に密輸品が入ることはできないでしょう」。
ロシアによる食料品の禁輸措置とそれの1年間の延長は、EUに大きな影響を与えた。それは顕著に表れている。欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa-Cogeca)の会長によると、EUの農業生産者は、禁輸措置によって55億ユーロの損失を被った。最も大きな被害を受けたのは、ポーランド、フィンランド、ドイツ、イタリアの生産者だという。