なぜ、戦後70年たった今も、アジアの数カ国は日本への憎悪を持ち続けているのだろうか? これについてモスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級専門家、アンドレイ・イヴァノフ氏は次のように語る。
にもかかわらず、未だに日本人の間では日本が解放と文明的ミッションを負っていたと主張したがる人がたえない。それでもこれらの日本人のロジックには、日本の植民地化がもたらした何らかのポジティブな面の論拠があることは認めねばならない。
たとえば台湾だが、ある少数民族の指導者から直接聞いたのだが、 彼は日本人はよい道路を作り、学校、病院を建ててくれた上、好きな女性から婚姻の承諾を取り付けるため、敵対する隣村の種族の首を切り落として、プレゼントするという台湾族古来の風習を葬り去ってくれたとして、日本人を褒めていた。日本軍の占領までに台湾にいた欧州人らは、原住民どうしの殺し合いなど問題視していなかったからだ。
また韓国で耳にしたのは、植民政策を行なった日本人は朝鮮の農業生産の効率を引き上げ、産業の発展を促してくれたというものだった。この発言は韓国に住む欧州人が行なったもので、その人はこうした事実は韓国人の口からは絶対に聞かれることなどないと語っていた。韓国では日本人は無慈悲で残酷な植民地支配者だと受け止められているからだ。
だがついこないだのことではなかったかだろうか。韓国と中国が日本に温かな感情を燃え立たせた時があったのは。中国、韓国の若者は日本の音楽、アニメに心酔し、政治家、企業家らは日本との協力のうまみを検討していた。20世紀、日本が朝鮮、中国の民衆に与えた過去の苦しみはどこかに忘れ去られようとし始めていた。だが、これは長くは続かなかった。
歴史の問題、つまり朝鮮併合も南京大虐殺、また慰安婦問題も燃え上がる反日感情からも手伝って、重要ではあるが、主要であるとは言い難い役割を演じている。これはつまり、過去への謝罪だけで状況をたたむことは出来ないことを示している。
太平洋戦争終結から70年が経過た今、日本は隣国に対し、そろそろ明確な外交政策を示すときがきている。だが日本にはまだ初歩的なロジックが欠如している。日本が米国とともに反中国同盟を強化し、これにインド、ベトナムを引き入れようとしており、本来は連合国であるはずの韓国とも島を巡る問題から喧嘩しているほか、こうした国々は中国にそれだけの脅威を感じておらず、それどころか他に代えることも出来ない貿易経済パートナーであり、袂を分かつことのできない隣人であるため、中国と対立関係になることを望んでいない事実を考慮しようとはしていないのだ。」