それにもかかわらず、一週間後、韓国当局は、これまでの見方を根本的に変え、事件の責任はすべて北朝鮮側にあると非難し、首謀者や組織者を一方的に特定さえした。韓国情報部によれば、地雷設置の指揮を取ったのは、北朝鮮人民軍偵察総局長キム・ヨンチョル将軍だとの事だ。彼は「挑発活動」後まもなく、四つ星将軍という称号を得ており、韓国諜報部は「彼の昇進と地雷事件の発生が、単なる偶然の一致であるとは思えない」と指摘している。
しかし、韓国当局は、結論を急ぎ過ぎているのではないか? ラジオ・スプートニク記者は、ロシア科学アカデミー極東研究所コリア調査センターのコンスタンチン・アスモロフ主任研究員に話を聞いた―
一方韓国軍人が負った傷は。かなり重く、その補償問題はかなり大きな問題だった。それゆえ、この事を一体どう韓国の国民に説明すべきか、との不愉快な問題が持ち上がり、それで恐らく、すべてを北朝鮮のせいにしようという考えが生まれたのだろう。私は、北朝鮮側から、あるいは韓国側からの挑発行為といった解釈は信じていない。多分、今回の事件は、単に偶然の悲劇だったと思われる。なぜなら、非武装地帯には今も多くの地雷が埋まったまま残っており、地雷原マップがあっても全く役に立たないからだ。」
大雨により、北朝鮮側の地雷が韓国の管理区域に流れ込んだという出来事は、以前にもあった。しかしその時の韓国人専門家らの意見は「これは自然災害の結果であり、意図的な『破壊行為』が北朝鮮に利益をもたらす事は出来なかった。北当局は、その事を非常に良く理解していた」との点でまとまっていた。
しかし今、韓国当局は、そうしたファクターを考慮する気はないようだ。国境に、追加の砲兵隊を投入し、宣伝放送を再開させた。北朝鮮領内の施設に対する攻撃さえも検討されている。極東研究所コリア調査センターのアスモロフ主任研究員は「これは、韓国内のここ最近の政治的変化により説明可能だ」と見ている―
南北朝鮮関係の尖鋭化は、今のところ、何らかの深刻な衝突を呼び起こしてはいない。ここ最近の発言を見る限り、全体として、事態が、2013年に起きた韓国の哨戒艦『チョアン』号沈没事件後のように、ドラマチックに発展するような事はないだろう。しかし、北朝鮮が以前から、自分達に対する侵略の準備だと受け取っている米韓軍事演習を目前に、好戦的なレトリックや相互の非難の応酬を強める事は、どちらの側にも何のよい事も、明らかにもたらすことはない。朝鮮解放70周年という重要な節目の時を前に、南北朝鮮の平和的統一の見通しを単に遠ざけるだけである。