米国務省のキルビー報道官は「我々は、ロシア軍と分離主義勢力の混合部隊による東ウクライナの停戦ラインを越えた攻撃が急激に増えていることを、極めて憂慮している」と述べた。キルビー報道官によれば、欧州安保協力機構(OSCE)の監視員達は、攻撃の大部分が、ロシアと義勇軍による混合部隊によるものであると確認している、との事だが、米国務省報道官は、自分の言葉を裏付ける具体的な事実を挙げることはできなかった。またキルビー報道官は、ウクライナ東部での即時停戦及びミンスク合意の完全遵守も呼びかけている。一方ロシア政府も、同様のアピールを出しており「ウクライナにはロシア軍部隊などおらず、ロシア軍人もいない」と再三述べてきた。
ラブロフ外相は「ウクライナ紛争におけるロシアの立場は変わらなかった」と強調し、次のように続けたー
「我々には、もうこれ以上実験したり、運試しをする必要はないと思われる。必要なのは、今年の2月12日にミンスクで合意された事を単に遂行することだ。軍事面での緊張緩和ばかりでなく、政治プロセルの開始が待たれている。」
それではウクライナ南部・東部での紛争のエスカレートは、誰に罪があるのだろうか? ラジオ・スプートニク記者は、東ウクライナにおり、事態の悪化を肌で感じているフランスの歴史家でジャーナリストのロラン・ブライアル氏の意見を聞いた-
地元住民は、OSCEに対し強い苛立ちを感じている。なぜなら。OSCEの代表らは、昼間だけしか働いていないからだ。主に一般市民の間で犠牲者が出る夜中のことを、OSCEの監視員らが見ていないことに、住民は特に苛立ちをつのらせている。そうした憤りは、よく理解できる。しかし、OSCEに対するいかなる攻撃もなく、これはすべて、明らかな宣伝に違いない。
私はここに、すでにひと月いる。軍事用も含め、取材許可証を受け取った。ここにはロシア軍はいないと断言できる。いるのは自主的にやってきたロシアの義勇兵達だ。国境付近での、ロシア軍のいかなる集結もない。ラヴロフ外相は、フランスの新聞『Libération』の取材のなかでポロシェンコ大統領が述べた欧州諸国に対するロシアの攻撃について『たわ言』と言ったが、これはポロシェンコ大統領の言葉を定義する正確な表現だ。私は、ラブロフ外相の言葉に賛成だ。なぜなら言うことが何もない時には、何でも言えるものだからだ。」