もし毎日新聞の予想が現実となれば、安倍氏はドイツのメルケル首相の外交手法を正確に繰り返す事になる。今年5月にモスクワで催された大祖国戦争70周年を記念する赤の広場でのパレードの後、彼女は、プーチン大統領と会談した。なおメルケル首相は、赤の広場での行事には参列しなかった。
ロシアの政治学者ウラジーミル・エフセーエフ氏は、安倍氏が、メルケル首相の例に倣う事は有り得ると見ている―
「メルケル首相がモスクワを訪問したように、安倍首相が北京を訪れる事は、日本がある種の歩み寄りに向けた用意のある事を裏付けている。メルケル首相のように行動すれば、和解のメッセージとみることができる。それは肯定的に評価されるだろうが、何らかの突破口になるものだとは私は思っていない。もし安倍首相が実際に中国に行くなら、それは中国との緊張関係を緩和したいとの日本の願いを表すものだ。日本は、中国と対立する事に関心を抱き過ぎている。おまけに日本は、そうした事に対し、米国の側から100%の支援が受けられるとは、あまり確信していない。それゆえ日本は、さらなる外交問題を創り出したくないと思っている。特に、習近平国家主席のワシントン訪問を前に、日本は、米国が中国との関係を若干改善し、日本が気まずい状態に陥る事を恐れている。日本は我が身を守っているのだ。なぜならオバマ政権が末期にあり『死に体』である事を考慮すれば、訪問の現実的結果を予想できないからだ。」
キスタノフ所長は、次のようにコメントしている―
「ここでは、もちろん推測するだけだが、日本のマスコミが指摘しているように、中国当局の公式的な反応は、中国のマスコミよりもソフトなものだった事は確かだ。日本のマスコミは、その理由を、経済状況が悪化していることから、中国は今、自分達の対場を若干緩めているのだと説明している。一方日本は、輸入や輸出、投資において、現在、中国の最も重要なパートナーである。中国は、日本との経済関係を損なわないよう、これ以上の関係悪化を望んでいないだろう。原則的に、すべては人の目には触れず、何も明らかではない。全体として安倍首相は、すでに大分前から中国との関係を改善したいと思っていた。恐らく、今回の事もまた、中国に向けた歩み寄りの小さな一歩ではないだろうか。」
続いてラジオ・スプートニク記者は、中国外交アカデミー国際関係研究センターのチョウ・ユンシェン教授に、話を伺った―
「中国が聞きたかったのは、安倍首相の70年談話のようなものではなかった。しかしそれが、安倍氏が9月3日に訪中する障害になるべきではない。安倍首相の談話は、いろいろな意味に取れるもので、様々な反応を呼び起こしている。その中には、中国にとって肯定的なものも、否定的なものも含まれている。しかし全体として、彼は、戦争勃発の責任についての言葉を避けよう試み、日本の責任について明確に述べなかった。
しかし、中国人民の抗日戦勝70周年を祝う行事に出席のため、中国政府が、安倍首相を招待した以上、我々はもう、その提案を拒否する事は出来ない。これは外交エチケットの基本的ルールである。日本のマスコミは時々、意図的に、日本の敗北をある種の勝利のように伝える。安倍首相はかつて『日露戦争における1905年のロシアの敗北は、アジア及びアフリカ諸国民の戦意を高揚させ、熱狂的に受け止められた。なぜなら、彼らは帝国主義列強による植民地支配を受けていたからだ』とまで言った。こうしたすべての事は、安倍首相の歴史観がいかに歪曲されたものかを表しており、多くの問題を引き起こしている。」
なお毎日新聞は、安倍首相の北京訪問が現実のものとなれば、そこでプーチン大統領と接触する可能性も有り得ると伝えている。