この決定は意味深長である。有力な政治勢力はパク氏を翻意させようと説得につとめた。何しろ米国も日本もEU諸国も出席しないのである。大体、日本に勝利した中国軍といっても、それは基本的に蒋介石の部隊だったのだ。
韓国大統領に対しては、海の向こうからも強烈なシグナルが送られてきた。ワシントンポストは12日付けで、北京の式典に国際的な指導者が出席すれば反日気運を強化してしまう、と報じた。韓国大統領に送られた反中テーゼはもう2つある。中国はいま南シナ海における活動を強化している。そんな中で世界の指導者が北京を訪れるなど、中国の策動を奨励するようなものだ。これがひとつ。それから、韓国大統領が北京を訪問した場合、それは世界に対し、韓国と米国の軍事同盟にヒビが入った、との誤ったシグナルを送ってしまい、それで得をするのは中国だけである、というものだ。
そんな中にあって、ついにパク氏は、自立した、パートナーたちの待ち望んだ決定を下した。これについて、極東研究所のコンスタンチン・アスモロフ氏は次のようにコメントしている。
「パク氏の訪問を強く期待していた。実に様々な方面から圧力がかかっただろうが、ついには北京渡航を決めた。むろん、大国間の駆け引きにおいて、中国のほうがはるかに重要なパートナーだからこその決断だ」
春、米国の強い圧力をはねのけ、韓国はアジアインフラ投資銀行のメイン株主となった。中国による同行創設計画は当初から米国の反対にあった。米国はこれを、自らが管理する銀行・金融運営システムに対する直接の挑戦と受け止めた。韓国および日本の親米政治家およびメディアは当時、警戒心をあらわにした。このように中国に接近するということは、韓国はしだいに米国から離れていくのではないか、と。この警戒心は、中国が米国からの強い圧力をはねのけ、ロシアに対する西側の制裁を支持しなかったことで、さらに強まった。この制裁には韓国も公然と距離を置いている。
そして今回、再び米国は痛打された。しかも、パク氏の米国訪問を10月16日に控えた、この最も好ましからぬ時に。ただ、ある意味では、この時期に、「韓国は主権をもち、自立しており、国家決定は自ら下す」というサインを未来の大統領に強く印象づけるのも悪くはない。その点安倍首相はちがう。昨日中国外務省は、現時点で安倍氏が9月に北京に来るかどうか情報はない、と明かした。
来るパク・習会談で、アジアにおける中韓協力の優先課題が示されるはずだ。なお、両者にとっては2度目の会談となる。その点、日米韓で軍事同盟の三角形を形成しているにも関わらず、パク氏と安倍氏は一度も会談していない。