そもそも南北朝鮮は2000年代の初頭、韓国に民主主義者らによる政権が誕生し、両国間の関係が急激に改善されたときに、38度線付近でのプロパガンダを停止していた。
ロシア科学アカデミー、経済研究所で朝鮮プログラムを率いる ゲオルギー・トロラヤ氏は、これはパク大統領の北京訪問準備と関連があるとの見方を示し、次のように語っている。
「韓国はまたしても北朝鮮を傷つけたいがために、中国に対して北朝鮮のふさわしくない行為の問題を突きつけ、中国が北朝鮮に圧力を講じるよう要求している。今回のケースでは、南北朝鮮間で砲撃合戦があったばかりであり、韓国軍も戦闘準備態勢をとらされている以上、この要求は特にアクチュアルなことに思えるだろう。この事実を韓国は自分の側に中国を引き入れ、その助けを借りて北に秩序を求めるために利用すると思う。」
ロシア人軍事専門家のヴァシーリィ・カーシン氏はラジオ「スプートニク」からのインタビューに答え、戦争の可能性を次のように語っている。
「地域限定的な小競り合いの軍事紛争が起きる可能性は朝鮮半島には常に存在している。通常これは境界線付近で、短期間の砲撃合戦、軍艦の衝突という形で起こりうる。だがこれより大きな事態も、現場を監督する者のミスや、何らかの非常に悲劇的な偶然がきっかけとなって起きてしまう可能性はある。なぜなら南北の政治指導部が著しい軍事行動を起こせという命令を出すことはまずありえないからだ。」
スプートニク:それでも金正恩氏は自国軍に対し、38度線全域で戦闘準備体制を高める命令を下したではないか?
スプートニク: だが、もし戦争という事態に発展した場合、韓国が勝利に支払う代価はどういったものになるだろうか?
「大規模な紛争になれば、これは地域全体にとって、特にロシアの沿海地方にとってカタストロフィーとなると思う。北朝鮮には戦闘能力を有する航空隊はなく、それに陸上の軍事機器もいい状態にはない。そのかわり軍事境界線から北にかけ、大量の大砲と弾道ミサイルが配備されている。
このほか、北朝鮮は、トンネル、シェルター、倉庫といった地下設備が縦横に張り巡らされた山岳地帯での戦争訓練を受けた軽歩兵団を大多数用意している。このため、北朝鮮は韓国の、そしておそらく日本の民間施設に非常に手痛い攻撃を行うことができる。
それでも米韓軍は起伏に富んだ地形や見事に訓練された北の歩兵隊を相手にしては、そう簡単に進軍はできなくなる。
おそらく、北は最後の最後まで戦いぬくだろう。なぜなら北朝鮮には、ばら色の非共産主義的未来が到来してしまった場合、活路を見出せない人があまりに多く、何百万人といるからだ。 これは特務機関、将校、国家、党の機関に勤務する人間であるし、また技術インテリゲンチヤのかなりの部分がそうだ。
結果として我々は人道危機に陥るであろうし、これは北東アジア全体を覆い、何年にもわたる危険性がある。もしこの紛争で核兵器、化学兵器などが使われることがあれば、これはもう目を覆う事態となってしまう。
朝鮮半島で大規模な紛争が起きれば、あらゆる方面にとってカタストロフィーとなることを万人がよく理解している以上、こういう事態に達することがないよう願うしかない。」
だが、この期待も現段階ではかなりぼんやりとした形であることも指摘しておかねばならない。韓国が北朝鮮を煽動したくないのであれば、なぜ反北朝鮮プロパガンダの再開を宣言したのだろうか?