ベルギーのシャルル・ミシェル首相は、より強硬な発言をした。彼は「EU各国は、テロリズムと戦うために自由の一部を犠牲にする事になるだろう」と述べている。ミシェル首相は、アムステルダムとパリを結ぶ旅客列車が武装テロリストに襲撃された事件の後、この問題をフランスのフランソワ・オランド大統領と討議した。
この悲劇により、欧州のリーダー達の忍耐力も尽きたようだ。テロリストは、26歳のモロッコ人で、これまでスペイン、フランスそしてベルギーに居住していた事が分かった。つまり彼は、欧州統合のあらゆる恩恵を利用していたのだ。ブリュッセル駅で何の検査もなかったため、彼は自動小銃と9発の弾丸、そしてピストルを持って列車に乗る事が出来た。
こうした潜在的なテロリストが、一体何人、欧州中を自由に移動しているのか、それは誰にも分からない。EUでは、第二次世界太淵以来最悪の難民危機状況が形成されているとの認識がある。しかし明らかに、国境では、この問題は解決される事がない。不法な移民が、そもそも、大手を振って国境を越えているからだ。有刺鉄線や壁、さらには例えワニが放された堀があったとしても、そうした人々の流入は止められない。
移民達は、多くの点でEU自体が生み出した恐怖から逃れてきている。なぜなら、欧州当局は、北アフリカや中東での所謂「民主主義革命」を支持したからだ。リビアでEUは、カダフィ打倒に参加した。彼は、長年にわたり、不法移民対策においてEUに効果的に協力してきた人物だった。まず第一に、今は亡きカダフィ大佐は、密輸でお金を稼ごうとするあらゆる試みを阻止した。
現在、難民は大きな流れとなり、欧州に押し寄せているが、そのビジネスをめぐり何百万ドルものお金が動いている。EU加盟各国ごとに移民を割り当てようという欧州委員会のイニシアチブは、単に移民の新たなる増大につながるだけだろう。欧州の豊かな国々へ渡りたいと強く望む不法移民達が、積極的に行動すればするほど、EUが統一ヨーロッパを維持するチャンスは小さくなってしまうというのが、まさに今の現状である。
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