米国との関係悪化の仄めかしは、オバマ大統領への警告

© REUTERS / Toru Hanai安倍首相
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内部告発サイトウィキリークスが7月末に米国家安全保障局(NSA)が日本の高官や企業に対して盗聴活動を行っていたとする一連の文書を公表した後、日本ではスキャンダルが勃発した。そしてこのスキャンダルは今もなお収まってはいない。

オバマ米大統領は26日、日本の安倍首相と電話会談し、日本で非常にネガティブな反応を呼んだ今回の盗聴疑惑について謝罪した。菅官房長官は今回の電話会談について、オバマ大統領が、日本で大きな議論を呼び、迷惑をかけていることを大変申し訳なく思うと謝罪した、と発表した。これに対して安倍首相はオバマ大統領に、「仮に日本の関係者が対象になっていたことが事実であれば、同盟間の信頼関係を揺るがしかねないもので、深刻な懸念を表明せざるをえない」と述べたという。NHKが伝えた。

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これらの発言の裏には何が隠されているのだろうか?そして、盗聴スキャンダルは日米関係にどのような影響を与える可能性があるのだろうか?ロシア外務省付属モスクワ国際関係大学国際調査研究所のアンドレイ・イワノフ主任研究員に話を聞いたー

「実際のところ、これらの発言はそれほど義務的なものではない。これは秘密ではないが、世界の主要な情報機関は、安全保障のために、潜在的な敵国だけでなく、同盟国の役人や軍需企業も監視している。米国が日本の民間企業を監視していたとする情報は、日本人を少しではなく、非常に驚愕させた可能性がある。米国はこの情報を日本企業との競争で優位性を獲得するために利用することができるだろう。そしてこの優位性は米国にとって役人に対する監視以上に重要なものだ。なぜなら米国は、監視を利用しなくても、日本の政策に影響を与えることができるようになるからだ。全てはオープンに行われており、米国は自国の利益に応じて日本の外交政策を調整している。米国が、日本経済に打撃を与えたり、あるいは米国企業に何らかのメリットをもたらすために、経済および心理的性質を持つ情報を利用できたということは、すでに深刻な問題だ。この意味において、安倍首相に対するオバマ大統領の謝罪は、義務的なものではない」。

イワノフ氏によると、NSAの監視に関する情報は、実際に日米関係に深刻な影響を与え、そこから第三国にも影響を及ぼす可能性があるという。イワノフ氏は、続けて次のように語っている-

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「また安倍首相は、同盟間の信頼関係を揺るがしかねないものだと発言した。これは空虚な言葉ではない。安倍首相は、中国の台頭に直面して米国との関係を強化する方針を取った。一方で安倍氏は、もし盗聴スキャンダルが進展したら、日本社会ではネガティブな感情が起こり、いかなるプロパガンダも役に立たなくなることを理解している。この問題を国会で提起すると思われる野党もおり、完全には政府の管理下に置かれていないメディアもある。そのため、これらの国民感情は強まる可能性がある。日米関係が悪化する可能性があると示唆したことは非常に重要だ。安倍首相は、もしこのような活動を行うのであれば、日本の国民感情に耳を傾けることを余儀なくされ、関係は冷却化するだろうとの旨を伝えた。これはオバマ大統領への警告だ。なおここには日中関係の問題と対立するものは何もない。最近、韓国の朴大統領が日本、韓国、中国の3カ国首脳会談を提案した。この会談では恐らく、3カ国の経済圏創設プロジェクトの継続が主要テーマとなるだろう。同経済圏には米国は招かれなかった。この経済圏では、ドルではなく各国の通貨で取引が行われる。また恐らくこの会談は、尖閣諸島(中国名:ジャオユイダオ)をはじめとした日中間の対立を克服するための解決策の模索にも利用されるだろう。そのためオバマ大統領に向けられた安倍首相の発言には、もし米国があまりにも乱暴に自国の政策を押し進めるのであれば、日本は自分で、あるいは韓国のサポートを受けて中国との関係正常化を試みる可能性があるという仄めかしが含まれていた。もし日本が中国との関係正常化を試みた場合、反中性質を持つ米国との同盟国関係に打撃を与えるだろう」。

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