ザンギャネ石油相は「石油価格が下がろうが、1バレル100ドルを越えようが、我々は石油を売らねばならない。我々が石油を市場価格より高く売りたくてもだ。制裁解除後、イランは採掘も日量100万バレルを越す市場のシェアを取り戻す」と語っている。
石油価格はこの間、急降下を続けている。
現在の条件で世界の石油市場に、そして価格に関わらず採掘量の拡大を図ろうとするイランにいかなる将来性があるのだろうか?
ロンドンのエネルギー問題の専門家でエコノミストのマヌチェフル・タキン氏は、ラジオ「スプートニク」ペルシャ語課からのインタビューに自身の予測を次のように語った。
「1年3ヶ月前、1バレルあたりの石油価格は平均で115米ドルだったが、2015年初頭で40ドルのレベルまで落ちた。その後価格は再び70ドルにまで上がり、その後また40ドルまで、いやそれよりも安値に急落している。なぜこうした上下が起きるのか? これは産油量が需要を上回っていることから生じている。このため、全体に見て世界経済は危機的条件にあるということの説明がつく。
イランは制裁から長年、石油が輸出できなかったが、あらゆる制限が解除された後、石油市場にかつて占めていたポジションを取り戻そうと邁進するだろう。これはイラクと同様だ。ここ数年、イラクの石油大企業は新たな油田の探査、開発の契約をたくさん結んでいる。リビアでも時折産油量の増加が認められている。こうして産油量は著しく増加し、それに伴い、価格が下がっていくわけだ。」
タキン氏は、現段階で具体的予測を行なうことは、特に中東地域の石油の輸出大企業らの間で政治の上での意見の食い違いがあるため、非常に難しいと断言している。このためタキン氏は、イランの世界の石油市場のカムバックも一気にではなく、段階的になるだろうと予想している。
「ペルシャ湾岸諸国の予算の石油に頼る割合は平均で80%だ。このように石油価格が下落した後では、これらの諸国の2015-2016年の予算が大打撃を蒙ることはますますはっきりしている。これらの国では石油外の産業部門からの税収を増やすか、支出を削減するかしか道はない。緊縮経済政策を避けては通れないことははっきりしつつある。
石油市場の条件が誰の利益にもなっていない。なぜなら産油国間で需要市場の獲得合戦が始まっているからだ。自国の採掘を犠牲にし、国際石油価格の上昇のために市場のシェアを失ってもいいとする国は全くない。」